チリとボリビアの大統領選後のビジネス環境見通し、ペルー貿易促進機関に聞く

(チリ、ボリビア、ペルー)

サンティアゴ発

2025年06月10日

チリとボリビアでは、2025年11月と8月にそれぞれ大統領選挙の実施が予定されている。大統領選後のビジネス環境の見通しに関して、両国と国境を接するペルーの企業経営者の受け止めについて、6月4日にペルー貿易観光促進庁(Promperú)チリ事務所のマリア・ビジェナ所長に聞いた。ビジェナ所長はチリとボリビアを担当している。

ビジェナ所長は、ペルーの企業経営者はチリの選挙後のビジネス環境について、安定的に推移すると見ている。「ペルーとチリは南米地域内でマクロ経済が安定的に推移している国と認識されており、両国の企業は双方に輸出と投資を活発に行っている。2025年11月の大統領選挙、翌2026年3月に控える政権交代後も、チリのビジネス環境について特段の心配はしていない」と話す。ただ、「政権発足後6カ月ほどは政府とチリ産業界による産業政策に関する歩調合わせの状況など、様子を見る必要はあるだろう」とコメントした。

ボリビアについては、現在も選挙後もビジネス環境は厳しいと見ている経営者が多いと指摘する。ペルー企業からPromperúに対し、ボリビア政府の外貨規制により取引先のボリビア企業との外貨決済がスムーズにできないという相談が増加しているという。「ボリビアには頻繁に足を運んでいるが、外貨不足でガソリンを調達できず、市民が仕事や日常生活に使用するガソリンが枯渇している状況が続いている。貿易のみならず国内の企業活動も厳しい状況と言える。ボリビアは観光資源が豊富だが、旅行代理店はボリビア国内での決済を避けて第三国の銀行口座経由で行っている。また、ボリビアに赴任した外交官がドル口座開設を銀行に申請したら断られるケースが出るなど、外貨規制の影響が及ぶ範囲は拡大している印象がある」と話す。

同庁では、ペルー企業のボリビア市場開拓支援方針の見直しを行っていることも明らかにした。ボリビアでビジネス経験がない企業の支援から、既にボリビア企業と取引している企業のサポートに力点を移す方針で、ボリビアで開催される展示会の「ペルー・パビリオン」設置・出展方針についても再検討しているという。

写真 チリとボリビアを管轄するビジェナ所長(中央)(ジェトロ撮影)

チリとボリビアを管轄するビジェナ所長(中央)(ジェトロ撮影)

(石井美和子、石田達也)

(チリ、ボリビア、ペルー)

ビジネス短信 fbbabff55d4b9511