「Energy Asia 2025」、ネットゼロ実現に向けた取り組みがマレーシアで加速
(アジア、ASEAN、マレーシア)
クアラルンプール発
2025年06月30日
マレーシアの首都クアラルンプール市で6月16日から18日にかけて、アジア地域のエネルギー移行などに関して議論する国際エネルギーフォーラム「Energy Asia 2025」が開催された。マレーシアの国営石油会社ペトロナスが主催し、2023年に次ぐ2回目の開催で、世界各国から124人の有識者が集まり、エネルギー移行を取り巻く現状や課題に関する105のセッションが行われた。3日間で約1万3,000人が来場した。
会場の様子(ジェトロ撮影)
同フォーラムでは展示エリアが併設され、ジェトロは「マレーシアで脱炭素化に貢献する日系企業の製品・サービスカタログ」の広報ブースを出展し、掲載している49社の日本企業の製品・サービスを紹介した。展示エリアには、ジェトロの広報ブースのほか、日本政府によるアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)パビリオンをはじめ、日系企業12社が出展し、エネルギー移行の技術や取り組みを紹介した。
ジェトロのブース(左)、AZECのパビリオン(右)(ともにジェトロ撮影)
展示エリアでは、ペトロナスが実施するアクセラレーションプログラム「FUTURE TECH4.0」のファイナリスト20社によるピッチも行われた。ペトロナスによると、ファイナリストは300社の応募から3社の日本企業を含む7カ国のスタートアップが選ばれ、このピッチイベントを皮切りに、8月末のデモデーに向けた支援プログラムに参加する。ジェトロは同プログラムのエコシステムパートナーとして、ファイナリストへの支援を行う(2025年3月19日記事参照)。
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相はフォーラム開催初日の基調講演で、マレーシア国営電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)が430億リンギ(約1兆4,620億円、1リンギ=約34円)を投じ、人工知能(AI)やバッテリー蓄電システムを活用した送配電網インフラの改善に取り組んでいることを明らかにした。同首相は、東南アジアはエネルギー供給や移行に関するプロジェクトの潜在力に恵まれた地域の一方、2023年の世界全体のクリーンエネルギー投資に占める東南アジアの割合はわずか2%にとどまっていると指摘した上で、「公正かつ公平なエネルギー移行の実現のため、多様なプロジェクトへの投資を大幅に増やす必要がある」と述べた。また、日本や韓国をはじめ10社を超える国際パートナー企業がマレーシアで二酸化炭素(CO2)の回収・貯蓄(CCS)に関連するプロジェクトに取り組んでいることに言及し、2国間や多国間の協力体制を通じ、結束を強めていくとの重要性を示した。
次のEnergy Asiaは2027年6月2日から4日に、クアラルンプール市内で開催される予定だ。
(川本暖乃、都築佑樹)
(アジア、ASEAN、マレーシア)
ビジネス短信 fb3d132d92f0c2e2