米アマゾンがオーストラリアのデータセンター関連で200億豪ドル投資へ

(オーストラリア、米国)

シドニー発

2025年06月19日

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は6月14日、米国クラウドコンピューティング大手アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)によるオーストラリアのデータセンターに対する投資決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます歓迎すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。AWSによる投資額は、200億オーストラリア・ドル(約1兆8,600億円、豪ドル、1豪ドル=約93円)にのぼる。アルバニージー首相は、カナダで開催されるG7サミットに出席する途中、米国シアトルのAWS本社を訪問し、マット・ガーマン最高経営責任者(CEO)と共同記者会見を行った。

AWSは、クラウドコンピューティングと人工知能(AI)機能の強化のため、2025年から2029年にかけてメルボルン、シドニーにあるデータセンターのインフラの拡張、運用、保守を行い、オーストラリアの顧客需要に対応していく予定だ。また、データセンターの運営に必要なクリーンエネルギー電力を調達するため、ビクトリア州に2カ所、クイーンズランド州に1カ所の合計3カ所での大規模太陽光発電所の建設も新たに発表した。なお、アマゾンは2030年までにグローバルで自社の事業運営に必要な電力を100%再生可能エネルギーとする目標を掲げていたが、2023年にその目標を達成している。

共同記者会見でガーマンCEOは、この投資がオーストラリアの次世代のイノベーションの基盤を築くものだと説明した。AIが活用されている実例として、オーストラリア大手銀行のコモンウェルス銀行が生成AIの銀行業務への導入を目指してAWSの「AIファクトリー」の稼働を開始したほか、オリンピック水泳のオーストラリア代表チームがパフォーマンス向上にAIを活用したことを挙げた。

ほかにもAWSは、2024年7月にオーストラリア国防省と機密情報を扱う最高機密(TS)クラウドを導入する戦略提携を発表していた(国防省リリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

オーストラリアでは、国内のデジタルサービスやAI需要の伸びにより、データセンターに対する投資が今後増加すると予想されている。不動産サービス企業傘下のJLLリサーチのレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2025年2月)によると、オーストラリアのデータセンター設置可能容量は2024年の1,350メガワット(MW)から2030年に3,100MWへと2.3倍に増加し、6年間で合計260億豪ドルの投資が見込まれると試算した。2023年10月には、米マイクロソフトがハイパースケールコンピュータクラウドコンピューティングやAIインフラ拡張のため、オーストラリアに50億豪ドルの投資を行うことを発表していた。

(青島春枝)

(オーストラリア、米国)

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