決済インフラ統合に向けた新組織設立

(シンガポール)

シンガポール発

2025年06月30日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)とシンガポール銀行協会(ABS)は6月25日、同国の各決済スキームを管理・統制するシンガポール決済ネットワーク(SPaN)の設立を共同で発表した(MASプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

SPaNは、シンガポール決済所協会、ABS、MAS、情報通信メディア開発庁(IMDA)が管理・監督している8つの決済スキームを一元的に統括する新たな組織だ。SPaN設立により、決済インフラのガバナンス強化や、決済分野の継続的な技術革新の推進、業界内の主要プレーヤー間の協業促進が期待される。今後、初期運営を担う取締役会を設置し、2026年末までに運用体制の構築を目指す。

ABS会長のヘレン・ウォン氏は「SPaNの下で決済制度の管理が効率化され、金融機関はデジタル決済の進化にすばやく対応し、イノベーションを推進できるようになる。ABSとその加盟銀行はシンガポール経済の未来を支える強固な決済基盤の実現に向けて、SPaNの取り組みを力強く後押ししていく」と述べた。

また、ガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は同日開催のABS年次夕食会で、「決済システムは消費者や企業の日々の活動に欠かせないものだ」と述べた。さらに、シンガポールの金融業界について「これからも柔軟さ、創造性、誠実さを持って、新たな課題や機会に対応しながら、企業と人々に利益をもたらす金融システムを築いていく」と語った。

(中島諒士)

(シンガポール)

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