関税率算出や適用範囲などに高い関心、トランプ関税に関するセミナーを大阪で開催

(日本、米国)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年06月09日

米国のトランプ政権は発足から数カ月の間に、相互関税の導入、鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税拡大、自動車・同部品に対する追加関税賦課など、複数の関税措置を相次いで打ち出している。情報の把握が難しい中、最新状況と対処方法に関する企業からの要望ニーズが多いことを受けて、ジェトロは65日、トランプ関税を巡る最新の動向と対応策に関するセミナーを大阪で開催した。

昨今の米国による関税措置を巡り、ジェトロが設置した「米国関税措置等に伴う日本企業相談窓口」に、日々数多くの問い合わせが寄せられている。今回のセミナーでは、関税措置の内容について、ジェトロに寄せられる相談の中から、よくある質問と回答について、ジェトロ海外ビジネスサポートセンター貿易投資相談課の石塚耕一アドバイザーが解説した。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーではまず、第2次トランプ政権で発動した相互関税、鉄鋼・アルミ、自動車・同部品に対する追加関税の概要について説明した。その上で、よくある質問と回答について解説した(添付資料表1参照)。

セミナーの後半では、日米貿易協定を利用して関税の減免を受ける方法について概要と利用手順を説明した。日米貿易協定は2020年1月1日に発効し、両国間の経済連携を深めるため貿易を促進することを目的としている。米国側は多くの工業製品について関税の撤廃・削減を行っている。これを今回の関税措置に対して適用した場合、添付資料表2のように、関税率の引き下げを行うことが可能となる。

ただし、日米貿易協定の特恵税率の適用については、同協定で定めた原産地規則に則している必要があること、さらには、最恵国待遇(MFN)税率と同協定の特恵税率とで差がない、あるいは特恵税率の方が高い場合は協定を利用するメリットはないので注意が必要、と語った。なお、個別品目の米国側の関税率については国際貿易委員会(USITC)の関税率表(Harmonized Tariff Schedule)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

質疑応答セッションでは、今次関税措置が適用されるタイミング、関税率の計算方法、デミニミスルールの提供範囲などに関する質問があり、活発な質疑応答が行われた。

本セミナーには、大阪・関西地域の大企業・中小企業約50社から幹部、海外ビジネス担当者が60人以上参加した。セミナー終了後には個別相談会が行われ、参加企業から自社製品の関税率の算出方法や原産地規則に関する相談があった。

(齋藤寛)

(日本、米国)

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