「チリ-日本ビジネスサミット」開催、鉱業分野での日本の技術協力に期待

(チリ、日本)

調査部米州課

2025年06月19日

チリ生産商工連合(CPC)は6月16日、大阪・関西万博の会場内で「チリ‐日本ビジネスサミット」を開催した。会場には100人以上の日本およびチリのビジネス関係者が集まった。同サミットでは7つの講演と2つのパネルディスカッションがあり、多様なテーマが扱われた。万博のチリ・パビリオンでは、会期中に独自のテーマウィークを設定しており(2025年3月21日記事参照)、6月14日に始まった「未来のための鉱業」のテーマウィークに合わせ、チリからも多数の鉱業関係者が来日。サミットでも鉱業関係の話題が多く扱われた。

講演したアウロラ・ウィリアムス鉱業相は、チリの鉱業の強みとして、120年以上の歴史を持ち鉱業関連のインフラが整備されていること、細長い地形のため海岸へのアクセスがどこからでも良いため海水が活用しやすいこと、法的安定性を有することなどを挙げた。また、前政権時の2021年に策定された「国家鉱業政策2050」は、持続可能な鉱業を続けていくための指針が定められたもので、現政権でも重視しており、また次期政権にも引き継いでいきたい意向を示した。併せて、16の重要鉱物についての政府指針を定める「重要鉱物戦略2025」を2025年8月中旬にも発表できる見込みとなっているとの紹介もあった。日本企業の投資機会としては、環境負荷が軽減される直接リチウム抽出(DLE)でのリチウム開発が今後期待されているところで、そういった付加価値をつけた鉱物生産への技術協力があるのではないかと述べた。また、探査活動においては難易度が上がっているため、より外国企業の投資や協力が必要になっていることなどの説明があった。

鉱業をテーマにしたパネルディスカッションでは、チリで操業する資源メジャー4社の幹部が登壇した。日本をどのように捉えているかというテーマで、英国のアングロ・アメリカンのフアン・パブロ・シェーファー企業広報担当副社長は「チリにおける鉱業は社会的な側面を持っており、社会的貢献により注力していかなければならず、その際に日本は戦略的に重要なパートナーだ」と述べた。また日本に期待することとして、カナダのテック・リソーシズのサステナビリティ責任者であるアンパロ・コルネホ氏は「チリでは鉱業分野での女性の活躍が期待されており、遠隔操作の導入促進によりそれがより進むものと考えているため、当該分野での日本の技術協力に期待している」とした。チリ国営銅公社(CODELCO)のブライム・チプル商業部門副社長は、リチウム開発や金採掘への日本企業の参画を呼び掛けた。

(佐藤輝美)

(チリ、日本)

ビジネス短信 e9f4331b48edea7e