6月1日から失業手当の受給条件を変更、求職者支援強化へ
(フランス)
パリ発
2025年06月06日
フランスで失業手当の受給条件が6月1日から変更された。求職者の支援強化を目的とする「完全雇用のための2023年12月18日付の法律」(フランス語)の2025年1月1日施行に伴ったもので、同法は求職者に日本のハローワークに相当するフランス・トラバイユと個別支援のための契約締結を義務付けている。5月31日公布の政令(デクレ)
(フランス語)は、その契約に基づく義務の不履行の場合、失業手当の支給額の30%以上を1~2カ月間停止すると定めた。
契約不履行が繰り返される場合、失業手当の30~100%の支給停止が最長4カ月まで延長可能となる。求職者が支給停止の終了時までにアドバイザーと共同で定めた条件に基づいて履行を再開した場合には、失業手当の受給停止は解除する。
同政令は公平性と明確性に鑑み、日本の生活保護に相当する「積極的連帯所得(RSA)」の受給の有無にかかわらず、違反措置を統一した。ただし、扶養家族がいる場合、積極的連帯所得の状況は引き続き考慮し、受給額の減額は50%を上限とする。
従来、求職者は1回でも面談を欠席すると、自動的に失業登録を抹消される規定だったが、今回の改正により、自動的な違反措置の適用は回避し、求職者の家族環境や健康状態も考慮する。また、いったん停止後も失業手当の受給再開が可能なため、求職者の早期再就労を促進する。
今回の改正は、実施責任を負う関係者や事業者との広範な協議を経て策定された。カトリーヌ・ボトラン労働・保健・連帯・家族相は「新たな措置は、権利と義務のバランスを体現したものだ。罰を与えることではなく、権利を尊重しつつ、持続的な雇用への復帰条件を整えた」とした。
首相府付きの「貧困と社会的排除と闘うための政策に関する国家評議会(CNLE)」は5月、同デクレ案に対し、「積極的連帯所得受給者の特性ともろさを十分考慮することなく、求職者全体と同等に扱うべきではない」と、遺憾の意を表していた。
(奥山直子)
(フランス)
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