「カンパイ・トロント」開催、日本酒試飲会で魅力発信

(カナダ)

トロント発

2025年06月17日

カナダのオンタリオ日本酒協会(Sake Institute of Ontario:SIO)主催の日本酒啓発イベント「カンパイ・トロント」が6月12日、カナダのオンタリオ州トロントで開催された。12回目を迎えるこのイベントは「飲食業関係者&メディア向け」と「一般向け」の2部構成で実施され、合計700人の参加登録があり、会場は多くの日本酒愛好家でにぎわいを見せた。

「飲食業関係者&メディア向け」セッションの冒頭、「酒サムライ」(注1)のマイケル・トレンブレイ氏による酒セミナーが開催された。開会あいさつでは、オンタリオ州専売公社(LCBO、注2)の社長兼最高経営責任者(CEO)のジョージ・ソレアス博士(Dr.)が登壇して、「日本酒は単なる飲み物ではなく、何世紀にもわたる技術と職人技の文化的な結晶だ」と語った。さらに、過去5年間で日本酒などを含む酒類商品カテゴリーが85%の成長を遂げ、売り上げが1,100万カナダ・ドル(約11億6,600万円、Cドル、1Cドル=約106円)に達したとし、今後のさらなる市場拡大に期待を寄せていると述べた。

写真 LCBO社長兼CEOのジョージ・ソレアス博士による開会あいさつ(ジェトロ撮影)

LCBO社長兼CEOのジョージ・ソレアス博士による開会あいさつ(ジェトロ撮影)

巡回型の試飲会では、日本やカナダなどの酒蔵から集められた200種類以上の日本酒を中心に、焼酎や梅酒などの酒類が並び、飲食業関係者やメディア関係者が試飲しながら、日本から来訪した酒蔵の代表者や、取り扱い輸入業者と直接の情報交換を行った。今回初めて参加し、何時間もかけて熱心に会場を回ったレストラン関係者は「多彩な銘柄を知り、試飲することができて、とても有意義な時間を過ごせた」とコメントした。

写真 飲食業関係者による試飲会、定番の銘柄から新たな商品を紹介するブースも(ジェトロ撮影)

飲食業関係者による試飲会、定番の銘柄から新たな商品を紹介するブースも(ジェトロ撮影)

ジェトロはレストラン関係者や輸入業者に向けて、会場にブースを出展した。海外バイヤー用「ジャパン・ストリート」オンラインカタログを紹介し、日本酒や酒器など日本産品のカナダ市場への展開支援、販路拡大を後押しした。

「一般向け」セッションの有料チケットは完売した。来場者には各地の酒蔵から集められた豊富な銘柄の日本酒などが提供されたほか、トロントの人気レストランも参加し、すし、焼き鳥、創作和食など、日本酒に合う特別メニューが振る舞われた。来場者はペアリングを通じた、味覚の奥深さと新たな発見を楽しんだ。

写真 (左)一般向けセッションの受け付け開始後まもなく行列に、(右)人気レストランによる創作和食の一例(ともにジェトロ撮影)

(左)一般向けセッションの受け付け開始後まもなく行列に、(右)人気レストランによる創作和食の一例(ともにジェトロ撮影)

写真 一般向けセッションの会場内(ジェトロ撮影)

一般向けセッションの会場内(ジェトロ撮影)

(注1)全国の若手蔵元で組織する日本酒造青年協議会が日本酒文化を日本国内のみならず、広く世界に伝えていくために、日本酒を愛し育てるという志を同じくする人に与える称号。国籍を問わず叙任されており、世界中で105人が任命されている(6月時点)。

(注2)カナダでの酒類の輸入・販売は、各州の専売公社が一元管理することとなっている(2024年9月6日記事参照)。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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