米国土安全保障省、南部国境壁の建設2件目の契約発表、5月の不法移民入国数はゼロ

(米国)

ニューヨーク発

2025年06月25日

米国国土安全保障省(DHS)は6月18日、税関・国境警備局(CBP)が、アリゾナ州サンタクルーズ郡(米国国境警備隊のツーソン地区内)が接する国境に約27マイル(約43.5キロ)の壁を建設するため、ノースダコタ州に拠点を置くフィッシャー・サンド・アンド・グラベルと、約3億ドルで契約したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の国境の壁建設に関する契約は、ドナルド・トランプ大統領の2期目の政権で2回目。1回目は3月にテキサス州ヒダルゴ郡(米国国境警備隊のリオグランデ・バレー地区内)が接する国境約7マイル(約11キロ)に壁を建設するため、グラナイト・コンストラクションと、約7,029万ドルの契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。今回の発表ではさらに、同地区内に最大で約17マイル(約27キロ)分の壁を追加で迅速に建設するため、クリスティ・ノーム国土安全保障長官が環境関連法などに基づく手続きの免除措置を講じたとも発表した。

CBPは6月17日に、5月に解放した不法移民は米国に1人もいなかったとし(注1)、前年同月の6万2,000人超と比較して劇的に減少したと発表している。また、同月に南西部国境で遭遇した不法移民は8,725人で、こちらも前年同月の11万7,905人と比較して93%減少したと発表した。

ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスが6月に実施した世論調査(注2)によると、トランプ政権が取り組むべき重要課題として、「物価高騰・インフレ」(34%)の次に、「移民」(32%)が上位に挙がっている。

(注1)米国では、移民裁判を待つ間、子どもや難民申請者をコミュニティーに解放する慣行「キャッチ・アンド・リリース」がある。ただし、正式に移民許可を得ないまま定住するケースもあり、不法移民を増加させているとの指摘も出ている。

(注2)実施時期は6月11~12日、対象者は全米の登録有権者2,097人。

(吉田奈津絵)

(米国)

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