世界最大級の水素展示会「WORLD HYDROGEN 2025 SUMMIT&EXHIBITION」で、日本の存在感をアピール

(オランダ)

アムステルダム発

2025年06月05日

世界最大級の水素関連展示会「World Hydrogen 2025」が52022日、オランダ・ロッテルダムで開催され、700社以上が出展、130カ国から15,000人以上が来場し、水素を取り巻く環境変化の中でも2024年同様の盛り上がりを見せた。

ジェトロは、2024年より規模を拡大してジャパンパビリオンを設置し、24の企業・団体(注)の技術・プロジェクトなどを紹介した。日本が水素サプライチェーンの上流から下流まで先進的な技術で網羅し、水素社会の実現に貢献していることを世界各国の来場者に印象付けた。出展企業からは、「他の水素展示会と比べ特に企業の来場が多く、新規顧客開拓ができた」「欧州の政府、自治体からも関心を寄せられたのは新たな発見」との声が聞かれた。また、前年も出展した日本企業からは、「昨年よりもジャパンパビリオンに立ち寄る来場者数は多かった。水素については停滞感を指摘する声もあるが、昨年までの『熱狂』が収まり、現実的な前進を目指す意気込みがあふれていた」との指摘もあった。

写真 ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

会期中は、特設ステージでジャパンパビリオン出展企業によるプレゼンテーションを実施したほか、オランダ、スペイン・バスク地方、オーストラリアなどの政府・投資促進機関と連携した商談・交流イベントを開催、パビリオン外でも日本企業に熱い視線が向けられた。

同展示会では、各国の政府や企業の要人、専門家などを集めたサミットも開催され、経済産業省資源エネルギー庁の木原晋一国際カーボンニュートラル政策統括調整官が基調講演を行い、日本の水素政策、特に水素社会推進法に基づく支援制度や、重点地域にメリハリをつけたモビリティー分野での活用支援、日欧間の企業間連携事例などを紹介し、「需要創出」の重要性を訴えた。会場では、オランダの気候・グリーン成長省職員から、「水素関連プロジェクトは計画から実行へ移していく」というメッセージとともに、グリーン水素のコスト削減、官民で連携した需要喚起、長期のオフテイク契約創出に向けた環境整備など、水素社会実現に向けて世界が抱える課題と今後の方向性についてあらためて言及があった。

写真 プレゼンテーション(ジェトロ撮影)

プレゼンテーション(ジェトロ撮影)

また521日には、経済産業省とオランダ気候・グリーン成長省が水素の協力覚書(MOC)に署名した。2019年に両国が「水素における協力」について締結していたMOCについて、今後はアンモニア水素の派生物へと対象を拡大し、発電、産業などの二酸化炭素(CO2)の排出削減が困難な「hard-to-abate」分野、モビリティーなどのより具体的な分野での協力を模索していくことで合意した。

写真 木原国際カーボンニュートラル政策統括調整官による基調講演、MOC改定式(ジェトロ撮影)

木原国際カーボンニュートラル政策統括調整官による基調講演、MOC改定式(ジェトロ撮影)

(注)AGC、旭化成、千代田化工建設、ENEOS、福井製作所、IHI、川崎重工業、神戸製鋼所、三菱重工業、三菱商事、新コスモス電機、日本ガイシ、パナソニック、プロテリアル、帝人、東レ、トヨタ自動車、つばめBHB、横河電機、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本貿易保険(NEXI)、水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)、アドバンテッジパートナーズ(Japan Hydrogen Fund)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)。

(宮崎真里佳、古川祐)

(オランダ)

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