ブルガリア、2026年1月からユーロ導入へ、欧州委が導入基準達成と評価
(EU、ブルガリア、ユーロ圏)
ブリュッセル発
2025年06月13日
欧州委員会は6月4日、ブルガリアがユーロ導入に向けた基準を満たし、2026年1月1日からユーロを導入する準備が整ったと結論づける2025年版収れん報告書を公表した(プレスリリース)。2025年7月に予定されるEU理事会(閣僚理事会)において正式な承認を受ける必要があるものの、現地報道によると、ユーロ圏の他の加盟国からの反対は予想されていないことから、ブルガリアは2026年初からユーロを導入する見込みとなった。
収れん報告書は、欧州委が非ユーロ圏EU加盟国のユーロ導入にあたり満たすべき収れん基準の達成状況と法律の整備状況を評価するものだ。収れん基準は、物価安定性、健全な財政、為替レートの安定性、長期金利の安定性からなる。前回の2024年版収れん報告書では、ブルガリアは収れん基準のうち物価安定性のみ満たしていないとの評価だったが、今回の収れん報告書は、ブルガリアは全ての基準を満たしており、ユーロ導入の準備は整ったと結論づけた。
欧州委のバルディス・ドムブロフスキス委員(経済・生産性、規制実施・簡素化担当)は、ブルガリアはユーロ導入により、安定した物価、取引費用の削減、預金の保護、投資や貿易の拡大といった恩恵を受けられると強調。シェンゲン協定への参加(2024年12月13日記事参照)と合わせ、ブルガリアの欧州へのさらなる統合を歓迎した。
ブルガリアがユーロを導入すれば、ユーロ圏は21カ国となる。これは、2023年のクロアチア(2022年7月14日記事参照)に続くものだ。残る非ユーロ圏EU加盟国はチェコ、デンマーク、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデンとなるが、これらの加盟国へのユーロ圏拡大のめどはたっていない。ユーロ導入の適用除外を受けるデンマークを除く5カ国は、法的にはユーロ導入が義務付けられているものの、いずれもユーロ導入の前提条件となる欧州為替相場メカニズム(ERM II)に参加しておらず、ユーロ導入に向けた取り組みは進んでいない。
(吉沼啓介)
(EU、ブルガリア、ユーロ圏)
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