2025年のクリーンエネルギー投資額は2兆2,000億ドルで増加が続く、IEA予測

(世界)

調査部国際経済課

2025年06月11日

国際エネルギー機関(IEA)は6月5日、「世界エネルギー投資報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2025年版)」を発表した。2025年のクリーンエネルギー技術(注1)への投資(予測値)は、前年比6%増の2兆2,000億ドルに達する見通し。化石燃料への投資(注2)は、4.2%減の1兆1,000億ドルで、クリーンエネルギー技術への投資が化石燃料への投資の2倍となる予測だ。化石燃料への投資を含む全体での2025年の世界のエネルギー投資(予測値)は、2%増の3兆3,000億ドルに達する見通しになっている。

国別では、中国は世界最大のエネルギー投資国であり、EUと米国による投資額の合計とほぼ同額の年間9,000億ドル近くをエネルギーに投資している。そのうち7割はクリーンエネルギー技術への投資だ。

低排出な発電方法(注3)への投資は、太陽光発電に牽引され、過去5年間でほぼ倍増している。太陽光発電への投資は、2025年に4,500億ドルと予想され、世界のエネルギーの投資の中で最大となっている。送電網に対する投資額は、4,000億ドルで太陽光発電に続く額だが、IEAは同投資額を発電への投資額(約1兆ドル)と同等にする必要があると指摘する。再生可能エネルギーによる発電を貯蓄することができる蓄電池への投資は急増し、2025年は650億ドルを超えると予想。原子力への資本流入は過去5年間で50%増加し、2025年には約750億ドルに達する見込みだ。

IEAのファティ・ビロル事務局長は「経済・貿易情勢が急速に変化しているため、一部の投資家は新たなエネルギープロジェクトの判断を様子見している。しかし、ほとんどの地域では、既存プロジェクトに重大な影響が及ぶ事象はまだ確認されていない」と述べた。

(注1)再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)、原子力、送電網、貯蔵、低排出燃料、効率化、電化の技術。

(注2)石油、天然ガス、石炭。

(注3)1.再生可能エネルギー、2.原子力、3.CCUS(二酸化炭素の回収・有効利用・貯留)を利用した化石燃料などの発電。

(板谷幸歩)

(世界)

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