インド産の縫製品、米国中心に輸出、日本向けは限定的

(インド)

ベンガルール発

2025年06月20日

WTOが公開する「世界貿易統計レビュー2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2023年の衣料品輸出でインドは中国、EU、バングラデシュ、ベトナム、トルコに次ぎ、全世界シェアの2.8%を占める縫製国だ。

添付資料表1はインドの2024年の縫製品輸出を国別に示したものだ。布帛(ふはく)製品とニット製品合わせて、全世界向けに157億2,600万ドルを輸出したが、うち米国向けが32.9%と最大の輸出相手国になっている。次いで英国、アラブ首長国連邦(UAE)、ドイツ、オランダと、欧州が上位を占める。表中には示さないが、日本は2億330万ドル(構成比1.3%)と、国別では14位だった。

同表2はインドの縫製品輸出を品目別に示したものだ。最も多いのは「女性用のスーツ・アンサンブル・ジャケットなど」、次いで「Tシャツ・シングレットなど」、「男性用のスーツ・アンサンブル・ジャケットなど」が上位を占めた。輸出先については、米国を中心に欧州の国々が同様に並ぶ。布帛製品とニット製品の比較では、布帛製品が82億22万ドル(52.1%)、ニット製品が75億2,560万ドル(47.9%)と、布帛製品がやや優勢となっている。

ベトナムやバングラデシュなどは、対日輸出で縫製品が品目別で首位となっており、日本は主要な輸出相手国だ。これらの国々は日本側にとっても、ポストチャイナの重要な製造委託先となっているが、インドではその流れは見られない。

日本の縫製企業関係者へのヒアリングによると、日本の縫製バイヤーがベトナムなどのASEAN諸国やバングラデシュから縫製品を輸入する場合、中国系資本の工場を活用するケースが多いとされる。しかし、インドでは中国企業による直接投資を政府が事前許可制にして、一部制限をかけているため、中国系資本の縫製工場のインド展開は限定的だ。こうした背景から、インドから日本に縫製品を輸入する場合、日本のバイヤー側が一連の受発注業務を現地企業と直接進める必要があり、これが少なからずハードルとなっている状況がうかがえる。

(水谷俊博)

(インド)

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