4月の対米輸出は大幅に減少、乗用車などが影響
(英国、米国)
ロンドン発
2025年06月18日
英国国家統計局(ONS)は6月12日、2025年4月の英国の貿易統計(国際収支ベース)を発表した。米国に対する財の輸出額が前月比で20億ポンド(約3,920億円、1ポンド=約196円)減少したとした。米国向け輸出額としては2022年2月以降の最低水準で、単月の減少幅については現行の統計開始(1997年1月)以降で最大となったとしている。対米輸出は2024年12月以降4カ月連続で増加を続けていたことから、その反動も影響したとみられる(添付資料図参照)。
ONSはこの減少について、米国による追加関税の賦課と関連している可能性が高いとした。一方で、ONSは今回のデータにつき月次のもので不安定なことに留意する必要があるとしており、今後も状況をモニタリングするとしている。
歳入関税庁(HMRC)のデータ(通関ベース)を基にジェトロが計算したところ、2025年4月の米国への輸出額は前年同月比で2億1,300万ポンド減少した。減少額の大きい品目としては、「抗血清・ワクチン」「乗用車」「ターボジェット」がいずれも1億ポンドを超える減少となった。英高級車メーカーのジャガー・ランド・ローバーも、米国による自動車への追加関税を受け、4月中は一時的に対米輸出を停止していたと発表している。
4月のGDP成長率はマイナスに
ONSは6月12日に4月単月の実質GDP成長率を発表、前月比0.5ポイント減のマイナス0.3%となった。背景として、4月から予定されていた印紙・土地税の増税を踏まえた3月の駆け込み需要の反動による不動産関連サービスの減少、4月6日から導入された国民保険料の雇用主負担の増加に伴う企業への影響に加え(2024年10月31日記事参照)、米国に輸出を行う企業への関税率変更可能性の影響も言及されている。ONSは4月から5月にかけて実施した調査の中でも、一部の企業から追加関税の賦課に伴う需要減および顧客への価格転嫁などの影響が生じるとの声が上がっていたとしている。
(山田恭之)
(英国、米国)
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