コロンビアで新労働法が施行
(コロンビア)
ボゴタ発
2025年06月27日
コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は6月25日、新労働法に署名した。同法は同日施行となった。コロンビアの労働制度改革は、2022年8月に発足したペトロ政権が目指していた3大社会改革の1つで、議会での幾度もの議論の末に承認された。主な内容は次のとおり。
- 雇用契約:原則として全ての雇用契約は無期契約となる。特別なプロジェクトにおいては有期契約が認められるが、その期間は4年を超えてはならない。
- 日勤および夜勤時間帯の定義:日勤および夜勤時間帯の定義が変更となり、日勤時間は午前6時から午後7時まで(以前は午前6時から午後9時まで)、夜間労働時間は午後7時から午前6時まで(以前は午後9時から午前6時まで)となる。
- 法定労働時間:1日の最大労働時間は8時間、1週間の最大労働時間は42時間となり、労働者と使用者の合意に基づき5日から6日間に配分される。残業時間は1日2時間、1週間12時間を超えてはならない。
- 日曜・祝日の賃金:日曜および祝日の労働には100%の割増金(現在は75%)が支払われる。割増率は3年にわたり段階的に引き上げられ、2025年7月1日に80%、翌年同日に90%、翌々年同日に100%となる。
- 特別有給休暇:これまでは投票または重要な家庭内の事情がある場合のみ認められていたが、今後は急を要する医療機関の受診、専門医の診察、教育機関の行事出席なども認められる。
- 自転車利用の促進:従業員は通勤手段として自転車を利用していることを証明すれば、雇用主と6カ月ごとに1日の有給休暇を取得することに合意できる。
- 柔軟な職場環境:雇用主は犬や猫のペットの職場内入室を認める柔軟な職場環境を導入することができる。従業員が身体的、精神的、または情緒的サポートのため介助動物の同伴が必要との証明書がある場合、雇用主は導入を認めなければならない。
- 障害者雇用:従業員数が500人以下の企業は、従業員100人につき少なくとも2人の障害者を雇用しなければならない。従業員数が500人を超える企業は、従業員100人につき1人の障害者を追加雇用しなければならない。
- デジタル配信プラットフォームのサービスを請け負う労働者:個人事業主の場合、プラットフォーム企業(注)が健康保険と年金の60%、労災保険料の100%を負担し、健康保険と年金の残りの40%は労働者が負担する。算出額は労働者がプラットフォームを通じて得た総所得に基づいて計算される。
今回の変更により、日曜・祝日や夜間に業務にあたっている飲食、警備、交通、観光などの業種に大きな影響が及ぶとされており、労働コストが18~34%上昇するとの見立ても出ている。
(注)具体的には、オンラインで宅配サービスや配車サービスを提供する企業。
(アンドレス・ゴンザレス)
(コロンビア)
ビジネス短信 ccd9c140e921c97d