インドネシア、低炭素・エネルギーなどでシンガポールと19件の協力合意

(インドネシア、シンガポール)

ジャカルタ発

2025年06月24日

インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領とシンガポールのローレンス・ウォン首相兼財務相は2025年6月16日、シンガポールの国会議事堂で非公式首脳会談(リトリート)を実施した。インドネシア大統領府は、今回の会談に際し、経済・防衛・法務・環境・教育など多岐にわたる分野で19件の事項に合意した(添付資料表参照、6月16日付大統領府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。プラボウォ大統領は共同記者会見で、今回の会談を「生産的で成功した会談」と評価し、両国関係をさらに深化させる考えを示した(6月16日付大統領府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

特に注目されるのがグリーン経済分野での協力だ。両国は、越境電力取引に関する覚書や炭素回収・貯留(CCS)に関する覚書を締結した(6月16日付大統領府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。これは、インドネシアで発電した再生可能エネルギーをシンガポールに輸出する構想を具体化するものだ。また、すでにセムコープ社による新首都ヌサンタラでの太陽光発電所への投資や、バタム島での低炭素工業団地開発といった民間プロジェクトも動き出している。

また、プラボウォ大統領は、シンガポール政府系投資会社テマセクとインドネシアの政府系投資ファンドダナンタラによる再生可能エネルギーや持続可能な低炭素経済特区開発での連携の重要性にも言及した。ビジネス・金融分野では、両国のハラール認証機関がハラール認証の相互承認に関する覚書を締結したほか、中央銀行間の金融規制協力についても合意した。

今回の会談を通じて、インドネシアとシンガポールは2国間関係のさらなる強化だけでなく、地域経済圏における協調姿勢も打ち出した。シンガポール側は共同声明において、インドネシアの環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加盟を支持する意向を表明しており、今後の地域経済協力の動向にも注目が集まっている。

(八木沼洋文)

(インドネシア、シンガポール)

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