第1四半期の失業率は7.9%、前年同期比でも悪化

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年06月24日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は6月19日、2025年第1四半期(1~3月)の国内31の都市圏を対象とした世帯アンケート(EPH)に基づく労働力調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の結果を発表した。同調査結果によると、2025年第1四半期の完全失業率は7.9%で、前期比1.5ポイント増、前年同期比0.2ポイント増と悪化し、2021年第3四半期(8.2%)以来の高い水準となった(添付資料表参照)。

就業人口は全人口の44.4%で、前期比1.3ポイント減、前年同期比では0.1ポイント増加した。就業人口の72.7%は給与所得者、23.5%は自営業者、3.4%は雇用主、0.4%は無給の家族従業者だった。給与所得者のうち社会保障費を支払っていない就業者、いわゆる非正規雇用は、前年同期比0.6ポイント増の36.3%だった。

完全失業率を男女別(14歳以上)にみると、男性が7.0%で前期比0.9ポイント増加し、前年同期比では同じ水準にとどまった。女性は9.0%で前期比2.1ポイント増、前年同期比では0.6ポイント増だった。性別・年齢階層別にみると、14歳から29歳までの男性の完全失業率は15.1%で、前期比2.6ポイントの大幅増、前年同期比1.0ポイント増だった。同世代の女性は19.2%で、前期比5.4ポイントの大幅増、前年同期比1.9ポイント増となった。

地域別でみると、大ブエノスアイレス圏(ブエノスアイレス市および近郊)が9.1%、パンパ地域が7.4%で、アルゼンチン中心部の完全失業率が国内31の都市圏の平均を上回った。

2023年12月にハビエル・ミレイ政権が発足した直後のEPHでは、失業率の悪化がみられたものの、2024年は年間を通して改善した。今回の失業率の悪化は、労働力人口の増加に対して新規雇用の創出が停滞したため、職に就けない人口が増加したのが原因とされるほか、季節的要因もあるとされる。例えば、建設業界では、労働者と1年間契約を締結するのが一般的で、夏季休暇中の第1四半期に契約を終わらせ、第2四半期(4~6月)から再度契約することが多い。このため、一時的に失業率が悪化している可能性がある(6月19日付現地紙「インフォバエ」電子版)。いずれにせよ、複数の世論アンケート調査では、国民にとって最も重要な国の課題として、物価上昇とともに失業を挙げる回答が多い。民間調査会社のポリアルキアによれば、「家族の誰かが仕事を失う可能性を非常に心配している」と答えたのはアンケート回答者の58%に達した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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