ジェトロ、アフリカ所長ウェビナー開催、アフリカビジネスとTICADの展望を解説
(南アフリカ共和国、ケニア、ナイジェリア、エジプト、日本、アフリカ)
調査部中東アフリカ課
2025年06月24日
ジェトロは6月19日、2025年8月20~22日に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を見据えてウェビナー「現地所長が語る!アフリカの最新ビジネス動向とTICAD9」を開催した。ウェビナーには180人以上が参加し、ジェトロのヨハネスブルク事務所(南アフリカ共和国)、ナイロビ事務所(ケニア)、ラゴス事務所(ナイジェリア)、カイロ事務所(エジプト)の4カ国からジェトロ所長が登壇した。ウェビナー冒頭では、ジェトロの仲條一哉理事が開会あいさつをし、「アフリカの官民リーダーが集うTICAD9を、これからのアフリカビジネスの契機としてほしい」と呼びかけた。
第1部の講演パートでは、「アフリカ各国の最新ビジネス動向」と題し、各国の政治経済概況、マクロ動向、注目分野などについて各所長が講演した。南アからは、2024年の国民統一政府(GNU)樹立を中心に政治概況や第2次トランプ政権の影響を含めた最新経済概況について解説した。ケニアからは、東アフリカのゲートウェイとしてのビジネス環境および、モビリティ、ヘルスケア、農業など日本の技術を生かしたイノベーション分野での商機(特集「アフリカと日本の未来切り拓く、日系スタートアップの挑戦」参照)について説明があった。ナイジェリアからは、人口、資源、文化などの魅力とともに、為替やインフレなどの財政課題や、ボラ・ティヌブ政権の経済政策も解説した。エジプトからは、製造業の投資環境や日系メーカーの事例、人口動態から見た消費市場・製造拠点としての魅力を伝えた。
第2部では、「TICAD9に向けた展望」をテーマにパネルディスカッションが行われ、TICADの変遷や諸外国と日本のアフリカでの動向について、4カ国それぞれの視点を解説した。また、アフリカを一辺倒に捉えず、ビジネスの目的意識や計画スパンにあわせ、どの国でどのモデルで取り組むべきか、注目国以外のフロンティアもふくめ多くの選択肢から考える必要があり、アフリカ諸国が集うTICAD9を生かしてほしい、との指摘があった。
質疑応答では、アフリカの自動車市場や、「アフリカは中国のように世界の工場になりうるか」といった質問が取り上げられた。各所長は、製造拠点として流通網の確保や料金回収など多方面での課題と、労働人口が拡大するアフリカでの製造のポテンシャルなどについて語った。
同ウェビナーは、6月26日から9月17日まで有料でオンデマンド配信される予定。申し込みはジェトロのウェブサイトから可能。
開会あいさつをする仲條理事(ジェトロ撮影)
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
(吉川菜穂、坂根咲花)
(南アフリカ共和国、ケニア、ナイジェリア、エジプト、日本、アフリカ)
ビジネス短信 c2376d82f4d3e84b