米半導体大手マイクロンが2,000億ドルの投資計画を発表、DRAM生産の40%を米国で

(米国)

ニューヨーク発

2025年06月18日

米国半導体大手のマイクロンは6月12日、アイダホ州、ニューヨーク州、バージニア州における半導体製造と研究開発(R&D)に約2,000億ドルを投資し、米国のメモリー半導体の生産と技術リーダーシップを強化すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、9万人の直接・間接雇用を創出する。ホワイトハウス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます商務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも同日、マイクロンの投資を歓迎する声明を発表した。

マイクロンの発表によれば、約1,500億ドルを米国内の先端メモリー半導体の生産能力拡大に、約500億ドルを研究開発に充てる。具体的には、アイダホ州に2つ目、ニューヨーク州に最大4つの最先端メモリー半導体製造施設を建設するほか、バージニア州の既存の製造施設を拡張・現代化し、高帯域幅メモリー(HBM)のパッケージングを導入し、人工知能(AI)に関連する需要に対応する。これらの投資によって、半導体メモリーDRAMの40%を米国で生産することを目的としている。

商務省によれば、マイクロンは米国唯一の先端メモリー半導体製造企業であり、そのDRAM技術はAI、高性能計算、自動車、次世代ワイヤレスデバイスなど幅広い分野を支えている。だが現在、最先端のDRAM生産は東アジアを中心に全て米国外で行われているという。同省は、今回のマイクロンの投資について、トランプ政権が推進する「米国の製造業の回復」「米国の技術リーダーとしての役割の強化」「米国労働者の利益を最優先」という方針に沿うものだと述べている。

マイクロンは2024年12月に、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、アイダホ州とニューヨーク州での生産拡大に対して最大61億6,500万ドルが助成されることが確定したほか、バージニア州の施設の現代化に最大2億7,500万ドルの資金提供を行う予備的覚書(PMT)を商務省と締結した(2024年12月16日記事参照)。AIの普及に伴い、米国では今後も半導体に対する需要は拡大するとみられている。一方で、CHIPSプラス法を巡っては、トランプ政権発足以降、目立った動きがみられていない。商務省とPMTを結んで以降、助成の確定が発表されていない企業が複数あり(注)、今後のCHIPSプラス法の履行状況も注目される。

(注)CHIPSプラス法に基づく助成は、まずは商務省と企業がPMTを結ぶ。その後、商務省が提案されたプロジェクトや申請書に含まれる情報について、包括的なデューディリジェンス(DD)を行う。DDが完了して、助成が確定する。

(赤平大寿)

(米国)

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