湖北省、中亜班列の輸送網強化により中央アジア地域との貿易関係構築を促進
(中国)
武漢発
2025年06月24日
カザフスタンで6月17日に開催された「中国・中央アジアサミット」に合わせて同月16日、武漢市と中央アジア間における双方向の国際貨物輸送列車が運行された。中国と中央アジアを結ぶ中亜班列は、武漢駅から自動車部品を積載し中央アジアに向けて出発した。また、同日にカザフスタン最大都市のアルマトイからは、同国の農産品を積載し武漢駅に向けて出発した。
中亜班列は2014年に運行開始し、武漢駅は現在、中央アジア地域13都市と武漢市との越境ルートをつないでいる。運航開始から約10年間で、新疆ウイグル自治区の阿拉山口(アラシャンコウ)および霍爾果斯(ホルゴス)の口岸ハブ(注)を用いた中亜班列の貨物便は133便、1万842TEU (1TEUは20フィートコンテナ換算)のコンテナが輸送され 、輸送貨物合計金額は15億元(約300億円、1元=約20円)を超えている。
武漢市における中亜班列の運営主体である湖北港口集団は、長江水路を経由した複合一貫輸送網の形成に尽力している。例として、中央アジアから運ばれてきた貨物が、武漢市の陽邏港を経由して長江沿いの主要都市に届く貨物輸送ルートを形成している。また、長江デルタや珠江デルタからの貨物を武漢市に集積した後、中央アジアに届けるといった貨物輸送網を構築している。このように、「海路および河路(長江)~鉄道路 ~陸路」を一体的につなぐ交通ネットワークを形成しつつある。
湖北省と中央アジア地域の経済および貿易交流が緊密化するにつれて、「双方向輸送」の協力が加速している。2025年6月、湖北港口集団はカザフスタンのアルマトイに海外倉庫を設立したほか、ウズベキスタンの首都であるタシケントに物流集約センターを設立するなど、海外輸送システム構築を継続的に推進している。
中亜班列の貨物輸送機能を用いることで、中央アジア産の綿糸、大麦といった製品が徐々に湖北省市場に流通し始めている。また、新エネルギー車、太陽光発電機器、電子製品、生活用品など「メード・イン・湖北」の製品も、中央アジア地域の市場に出回りつつある。2024年の湖北省と中央アジアの貿易額は948億ドルに達し、前年比5.9%の増加となった。武漢市は今後、市場のニーズに合わせ、中央アジアの菓子、ビスケット、果汁飲料、パンなどの輸入も検討している。
(注)口岸とは、中国税関が2国間の国境などに設置した検問所を指す。
(西島和希)
(中国)
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