国際金融機関との協力強化、タシケント国際投資フォーラム

(ウズベキスタン)

タシケント発

2025年06月25日

タシケント国際投資フォーラムが6月9日から12日まで、ウズベキスタンの首都タシケントで開催された。フォーラムには、ブルガリアのルメン・ラデフ大統領や、スロバキアのロベルト・フィツォ首相、カザフスタンのオルジャス・ベクテノフ首相ら諸外国の政府要人や、欧州復興開発銀行(EBRD)のオディール・ルノーバッソ総裁、新開発銀行(BRICS銀行)のジルマ・ルセフ総裁が出席した。また、97カ国から約3,000人が参加した。

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領はフォーラムでのスピーチで、グリーン経済への移行や、デジタル技術と人工知能(AI)の開発、金融・銀行部門、スタートアップの代替となるベンチャーキャピタル(VC)、および鉱物資源処理の4部門への投資協力を呼びかけた。加えて、2030年までに同国の信用格付けの投資適格への引き上げや、2年以内に29の大規模な国有企業民営化など投資環境の改善に取り組んでいくことを強調した。

ミルジヨエフ大統領は18の主要企業や銀行の国有資産(約20億ドル相当)を統合した国家投資ファンドを設立し、運用機関として米国の資産運用会社フランクリン・テンプルトンを起用することを明らかにした。ファンドの国際的なIPO(新規株式公開)を2026年に行うとも述べた。

フォーラム期間中、ウズベキスタンのBRICS銀行加盟が承認されたことと、同銀行との50億ドル相当の共同プロジェクトの決定が発表された。資金は鉱山開発や官民連携(PPP)によるインフラ整備、民間部門への融資に充てられる予定だ。EBRDからも民間部門支援のため11億ユーロの調達を取り付けた。

フォーラムでは2024年(266億ドル)を上回る305億ドル相当の30以上の投資関係文書が調印された。主なものは次のとおり。

  • ウズベキスタン共和国復興開発基金とウズベキスタンとオマーンの合弁企業ウズ・オマーン・キャピタルとの中央アジア直接投資ファンドの設立
  • イスラム金融(注)に基づく中小企業への融資
  • 日本就労準備センターの設立
  • 農業、酪農、乳製品製造のための高度複合化システムの構築に関する協力
  • フェルガナ州ベシャリク地区とナマンガン州パプ地区での太陽光発電所建設
  • タシケント州での最大出力1,400メガワット(MW)の火力発電所建設
  • ノービィ・ナマンガン市での高層住宅やオフィスビルの建設
  • ナボイ火力発電所とヨシリク変電所を結ぶ400キロの送電線と変電所の建設
  • スルハンダリヤ地方サリオシイスキー地区とカシカダリア地方を結ぶ高速道路の設計
  • 有害廃棄物、医療廃棄物、農業廃棄物の処理プラントの建設
  • 大型リゾート複合施設「シーブリーズ・ウズベキスタン」の建設
写真 フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

(注)イスラム法(シャリーア)に即した金融。利子の受け払いなどが禁止されており、資産・事業などを裏付けとして生み出される利益などが投資家に支払われる仕組みとなっている。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン)

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