MH州、EV普及に向け政策的支援を強化

(インド)

ムンバイ発

2025年06月05日

インド西部マハーラーシュトラ(MH)州政府は5月23日、電気自動車(EV)の普及に向けた新たな包括的支援策「Electric Vehicle Policy 2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表した。政策期間は5年間(2025年4月1日~2030年3月31日)とされ、2030年までの段階的なEVの普及を目指す。

新たに公表された政策では、2030年までに登録される新車のうちEVの割合を全体で30%に引き上げる目標を掲げる。特に二輪車、乗用三輪車は40%、自家用四輪乗用車で30%、バスや大型貨物車では15〜40%の導入を目指す。購入補助金としては、二輪車は最大1万ルピー(約1万7,000円、1ルピー=約1.7円)、自家用四輪乗用車は同15万ルピー、バスや大型貨物車は同200万ルピーなど、車種ごとに設定された金額が州内登録車を対象に支給される。

充電インフラ整備も進められ、州道および国道沿いにおいて25キロメートルごとの急速充電ステーション設置を目標とするほか、ガソリンスタンドやバス停への設置も義務化される。建築規制も見直され、新築集合住宅ではすべての駐車区画にEV充電設備を備えるよう義務付けるなど、EV対応住宅の普及が図られる。

供給面では、EVの製造やバッテリーリサイクルに関連する施設整備への支援が盛り込まれているほか、研究開発体制の強化として、次世代バッテリーやVehicle-to-Grid(V2G)技術(注)を含む双方向充電などの分野に対応する専門研究拠点を少なくとも3カ所に設置する方針が示されている。

政策の運営は州の関係部局による合同体制により行われ、実務支援のためのEV専門チームも州庁内に設置される予定。今後、補助金申請の手続きや研究拠点の整備方針など、制度の具体化が進むとみられ、EV事業の展開を検討する企業にとっては留意すべき動向の1つだ。

(注)電気自動車(EV)を蓄電池として活用し、電力会社の電力系統に接続し相互に利用する技術。

(篠田正大)

(インド)

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