学位持たない域外人材向けに、新たなビザ制度導入
(香港)
香港発
2025年06月11日
香港特別行政区政府は5月30日、深刻な人手不足に直面している8つの技術職に限定して、学位を持たない域外人材向けの就労ビザ制度を発表した。中国本土以外の人材が対象のビザ「一般就業政策(GEP)」と、中国本土の人材を対象としたビザ「中国本土人に対する人材・専門家入境スキーム(ASMTP)」(2024年2月1日付地域・分析レポート参照)の枠組みを拡充した措置だ。対象となる8職種は、(1)新産業技術者(注)、(2)看護師、(3)航空整備士、(4)海事技術者(域内船舶向け)、(5)情報技術専門家、(6)エレベーター/エスカレーター技術者、(7)建築情報モデル(BIM)コーディネーター、(8)電気技術者。この制度は6月30日から3年間の試行期間で導入し、8職種で18~40歳の非学位域外人材を合計1万人(各職種の上限は3,000人)誘致することが目的だ。
申請要件は、事前に香港域内企業の内定を取得しており、対象職種の資格や実務経験、免許があるなどの要件を満たす必要がある。初回のビザは職種や資格に応じて24カ月または36カ月有効で、香港で引き続き同一職種で就労する限り、更新が可能となる。延長期間は最長36カ月、または雇用契約の有効期間のいずれか短い方に応じて許可する。
GEPとASMTPの制度により、雇用主は現地採用が困難な場合に、学士号以上の学位を持つ域外人材の雇用を申請できるようになった。雇用困難な職種が同措置の8職種に該当する場合、域外人材の採用では、香港内で人材確保が困難という証明を提出する必要はない。
香港政府報道官は同措置について「特定の職業に従事する中堅レベルの有資格者や経験豊富な非学位の技術専門家のためのもので、既存の制度と重複しない」と強調した。
(注)(1)スマート製造分野や自動化製造の分野、ロボットエンジニアリングの分野、(2)機械工学の分野や機械と電気を融合させたメカトロニクス工学の分野、(3)医学に工学技術を取り入れ、生命現象を明らかにし、診断や治療に有効な手段を提供することを目的とした生体医工学の分野のトラブルシューティング、運用、保守、管理などを行う技術者を指す。
〔黄莃倫(ケリー・ウォン)〕
(香港)
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