ムンバイ・ナグプール高速道路が全線開通、工業団地集積の旧オーランガバードとのアクセスが向上

(インド)

ムンバイ発

2025年06月10日

インド西部マハーラーシュトラ(MH)州政府は6月5日、州都ムンバイとインド中央部に位置するナグプールを東西に結ぶ全長701キロメートルの高速道路の最終区間(イガットプリ~アマネ間)の開通式を実施し、全線が供用開始となった。

本事業は2015年に構想され、2019年に着工。2022年以降、ナグプール側から段階的に開通してきた。今回の最終区間開通により、ムンバイ都市圏からナグプールまでの全区間を高速道路のみで走行可能となった。これにより、以前は17~18時間を要していた両都市間の所要時間は、約8時間に短縮された。最高速度は区間により時速100~120キロに設定されている。

同路線は自動車専用の高規格道路として整備されており、日本の高速道路と同様、出入り口を限定したアクセス制御型の設計で、歩行者、二輪車、オートリキシャなどの通行は禁止されている。インド国内では、先進的な交通インフラとして位置づけられる。

本路線の西端はムンバイ都市圏東部のアマネに位置し、国内最大級のコンテナ港であるナバ・シェバ港(JNPT)へのアクセスも向上した。今後は、州北部ダハヌ近郊で開発が進められているワダワン港との接続も予定されており、主要港湾との連携強化を通じた広域物流網の整備が進められている。このほか、工業団地が集積するチャトラパティ・サンバジナガール(旧オーランガバード)とムンバイ都市圏とのアクセスも改善され、製造業のサプライチェーン構築や製品輸送の迅速化が見込まれる。また、沿線には、巡礼地シルディや世界遺産アジャンタ・エローラ石窟群などの観光地も位置する。

なお、現地報道によると、ムンバイ側のインターチェンジであるワダペICの整備は現在進行中で、完全な乗り入れには今後1年程度を要する見込みだ(「エコノミック・タイムズ」紙6月4日)。

(篠田正大)

(インド)

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