ポーランド最大規模のゲーム開発者会議がクラクフで開催

(ポーランド)

ワルシャワ発

2025年06月05日

ポーランド最大規模とされるゲーム開発者会議「デジタル・ドラゴンズ(Digital Dragons外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」がポーランド南部クラクフで518日から20日まで開催された。主催団体のクラクフテクノロジーパークによると、53カ国から延べ900社、2,300人が参加し、約2,500件の商談が行われた。

写真 会場の様子(ジェトロ撮影)

会場の様子(ジェトロ撮影)

出展者には、出資者や、パブリッシャー(注1)の投資を狙うインディースタジオから、ポーランドのCDプロジェクト(CD Projekt)や米国マイクロソフト傘下のアクティビジョン(Activision)など大手ゲーム開発企業まで幅広くみられた。日本からは、ゲームテキストの人工知能(AI)翻訳サービスを提供する企業が出展し、また日系パブリッシャーも来場していた。インディーゲームのパブリッシング事業を手掛ける日系企業の担当者に話を聞いたところ、「ポーランドのゲーム業界は所属を超えた仲間意識が高く、利害に関係なく企業を次から次へと紹介してくれるため、企業発掘のハードルが低い」と述べた。

会場では商談ブースのほか、著名な業界人を招いた講演会や、専門家によるセミナーに加え、ポーランド企業開発庁(PARP)による国際展示会でのプロモーション支援に関する説明会も行われた。中でも注目が集まったのは、CDプロジェクトのヒット作「サイバーパンク2077」の原作者マイク・ポンスミス氏による「フランチャイズの裏側」というタイトルの講演で、フランチャイズ作品(注2)を成功に導くには「制作に携わる関係者がみな同じビジョンを持つことが欠かせない」と強調した。「サイバーパンク2077」を原作にしたアニメーション作品「サイバーパンク エッジランナーズ」は日本のアニメ制作スタジオTRIGGERが手掛けたこともあり、コンテンツ産業におけるポーランドと日本の協業事例として話題になった。

写真 講演の様子(ジェトロ撮影)

講演の様子(ジェトロ撮影)

なお、会議名にもなっているデジタル・ドラゴンズは2012年に設立された組織で、クラクフテクノロジーパークの一部門として運営されている。イベント運営のほか、セミナーやワークショップといったプロジェクトを幅広く手掛け、ゲーム産業のコミュニティかつエコシステムとなることを理念としている。

(注1)ゲームの企画、宣伝、販売、マーケティング、流通などを行う企業。

(注2)キャラクターや世界設定の使用権利許諾を得るかたちで制作される作品のこと。

(金杉知紀)

(ポーランド)

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