西シドニー国際空港、大規模工事を終え、ターミナル公開

(オーストラリア)

シドニー発

2025年06月25日

オーストラリア・ニューサウスウェールズ(NSW)州の西シドニー国際空港(WSI、2023年11月1日記事参照)のターミナルの大規模建設工事が完了した。6月11日に最新の空港ターミナルが公開され、披露式典にアンソニー・アルバニージー首相も出席した。オーストラリア政府は同国際空港と周辺のインフラプロジェクトに190億オーストラリア・ドル(約1兆7,860億円、豪ドル、1豪ドル=約94円)投じており、アルバニージー首相は、この空港は経済成長を促し、生産性を飛躍的に向上させるだろうと述べた。

工事が完了したのは、3.7キロの滑走路を含む制限区域内と、駐車場、道路、棟りょう、電気・ガス・水道設備を含む制限区域外のエリアだ。同首相は同日付プレスリリースで「今日の発表は空港プロジェクトにとって大きな節目となり、開港に向けた進捗が建設段階から運用段階へと大きく前進したことを示すものだ」と述べた。今後はシステムのテストと旅客と貨物を受け入れるための空港運営準備に着手する。

西シドニー国際空港は2026年後半に国内線、国際線、航空貨物サービスを開始し、24時間稼働する予定だ。開港により、乗客の乗り継ぎの幅が広がるだけでなく、シドニー初の航空貨物ハブとして機能することが期待される。同空港開港により、シドニーでの航空貨物の輸送能力は30%増強となり、将来的には4倍以上になる見込みだ。空港までの交通手段については、無料の高速道路M12が空港開港時に開通する予定だ。一方、メトロの開通は2027年4月以降になると報じられている(公共放送ABC、6月11日付電子版)。

運航が確定している航空会社は、カンタス航空、同航空傘下のLCCのジェットスター航空、シンガポール航空、ニュージーランド航空の4社だ。カンタス航空は2026年開港に向けて運航を予定しているが、ニュージーランド航空はスケジュール調整や機材調達などを理由に、2027年中ごろの就航を予定している。

航空情報管理サービス企業エアサービスオーストラリアによると、西シドニー国際空港は、国内初の航空管制塔がないデジタル化された空港となる。最先端技術を用いたデジタル飛行場サービス(DAS)を導入し、20台以上の高解像度カメラが約20キロ離れた管制室にリアルタイムの映像を送信する。DASは管制官の能力を向上させ、より高いレベルの安全性とキャパシティーの向上を実現するとしている。

(山崎美樹)

(オーストラリア)

ビジネス短信 b5473290da3279e5