万博ナショナルデーでフォーラム開催、モンテネグロ首相が流ちょうな日本語でスピーチ
(日本、モンテネグロ)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年06月05日
ジェトロとモンテネグロ経済会議所は5月27日、大阪・関西万博におけるナショナルデー開催とそれに伴うモンテネグロのミロイコ・スパイッチ首相の訪日を契機として、大阪で「日・モンテネグロ・ビジネスフォーラム」を開催した。大阪大学と埼玉大学への留学経験があるスパイッチ首相が流ちょうな日本語でスピーチを行ったほか、現地に進出している大同メタル工業が自社事業を紹介した。
スパイッチ首相はあいさつで、モンテネグロとのビジネスの魅力をPRした。モンテネグロの租税負担率は低水準にあり、ユーロを事実上の国内通貨として利用しているほか、SEPA(単一ユーロ支払い地域、注)に加盟している。次期EU加盟候補国で、安定かつ予測可能な投資環境があると説明した。その上で、今後10年間、高速道路・自動車専用道路、鉄道インフラ、港湾整備など輸送インフラ整備に注力するとし、エネルギー、物流、観光、情報技術分野も有望なので、日本企業にはぜひ参画してほしいと呼びかけた。
スパイッチ首相によるスピーチ(ジェトロ撮影)
モンテネグロ投資庁のスネジャナ・ジューロビッチ長官は、同国の投資環境について説明した。生活費が安価で、風光明媚(めいび)で文化的遺産が豊富な優れた住生活環境があること、法人税が9~15%、個人所得税が最大15%と欧州諸国に比べて低税率であること、内国民待遇の付与といった点が、外国人投資家には魅力的と説明。経済はサービス産業への依存が強いが、安定的に成長し、外国からの直接投資受け入れ額は独立した2006年以降安定して推移しており、これまでに約100カ国から140億ドル受け入れた、と語った。
ジェトロの庄秀輝大阪本部長はモンテネグロについて、アドリア海に面しながら、内陸部は山岳地帯で大変美しい国であると紹介しつつ、EU加盟に向けた準備に伴い、改革が進展していると述べた。日本企業にとっては、エネルギー、産業廃棄物処理、物流、観光といった分野にチャンスがあり、何よりスパイッチ首相が大阪大学などへの留学や、日本での勤務経験を通じ大の日本通であることが、両国関係強化における強力なドライバーだと説明した。
大同メタル工業の判治誠吾代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)(モンテネグロ国名誉領事)は、自社のモンテネグロでの事業について説明した。同社は2002年に、同国のベアリングメーカーの買収を通じて現地に「滑り軸受」の製造拠点を設立。設立以来、生産ラインへの投資を重ね、顧客も増え、売り上げは拡大し続けている。主な欧州の自動車ブランドに供給しており、品質面においてサプライヤーから表彰も受けている。事業のみならず、従業員とその家族、地域の方々との良好な関係構築に努めており、年2回交流イベントを開催している、と語った。
セミナーの最後には、モンテネグロ出身の著名なギタリストであるミロシュ・カラダグリッチ氏による演奏が行われた。
カラダグリッチ氏によるギター演奏の様子(ジェトロ撮影)
(注)法人と個人が加盟国において、国内取引と同じように効率的にユーロ建ての電子決済を送受信できる枠組み。
(齋藤寛)
(日本、モンテネグロ)
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