ビール大手ハイネケン、新工場含む27億5,000万ドルの投資発表
(メキシコ)
メキシコ発
2025年06月20日
オランダのビールメーカーのハイネケンは、6月11日のメキシコ政府による記者会見に参加し、2025年から2028年にかけてメキシコに27億5,000万ドルを投資すると発表した。会見で言及した具体的な投資内容は、ユカタン州カナシン市でのメキシコ国内8番目となる同社新工場の建設で、投資額は約5億ドル、3,000人以上の雇用を生み出す見込みだ。ハイネケンメキシコのオリオル・ボナクロチャ最高経営責任者(CEO)は「このプロジェクトを通じ、ハイネケンは現地の先住民コミュニティーと開けた会話を行った最初のビールメーカーとなった。新工場建設は重要な節目であり、ユカタン州政府や地元産業との関係構築の契機にもなる」と述べた。
ユカタン州知事のホアキン・ディアス・メナ氏はクラウディア・シェインバウム大統領に対して「(ハイネケンの投資計画は)より良い賃金の雇用を促進し、社会的な不平等に対処するために最も効果的」と語った。これは、政府が推進する経済開発計画「プラン・メキシコ」(2025年4月11日記事参照)が掲げる国内生産の強化にも沿った投資計画と考えられる。メキシコ工業団地協会(AMPIP)のエクトル・イバルサバル氏は同国に投資する利点について「他国に対してメキシコは、米国と隣接する地理的要因だけでなく、労働力でも競争優位性がある」と述べている。
メキシコの飲食料品市場や中南米のハブとしての役割に注目
ハイネケンと同様の飲食料品分野では、米国の食品メーカー、ケラノバが2023年にケレタロ州に「プリングルス」の工場建設のため、6億6,000万ドルの投資を発表し、2025年6月に開所式を行った。ケラノバ・ラテンアメリカのビクトル・マロキン社長は「メキシコは戦略的な市場だ。この工場は今後、中米・カリブや南米などにも供給できるハブとなるだろう」とコメントした(「ブルームバーグ ラ・エストラテヒア・デル・ディア・メヒコ」6月12日)。
(加藤美帆、阿部眞弘)
(メキシコ)
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