スリランカの第1四半期GDP成長率は前年同期比4.8%、IMFは経済回復を高く評価

(スリランカ)

コロンボ発

2025年06月25日

スリランカ・センサス統計局(DCS)は6月16日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比4.8%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2023年第3四半期(7~9月)以降、プラス成長が続いている。

2025年第1四半期の産業別成長率(前年同期比)では、農林水産業が0.7%減だったが、鉱工業が9.7%増、サービス産業が2.8%増加した(添付資料表参照)。農林水産業では、畜産が18.8%増、海洋漁業・海洋養殖業が14.5%増となった一方で、淡水漁業・淡水養殖業が57.0%減、油性果実の栽培が27.6%減、ゴムの栽培が22.2%減少した。

鉱工業では、鉱業・採石業で12.6%増、建設業で10.7%増えたほか、家具の製造が23.9%増、紙製品の製造が23.2%増、その他の非金属鉱物製品の製造が22.9%増、繊維製品、衣料品、皮革関連製品の製造が16.5%増加した。

サービス産業では、保険・再保険・年金積立金が17.4%増、金融サービス活動が14.6%増、宿泊・飲食サービス業が14.0%増と高い成長をみせた。

DCSは、比較的安定的な為替レートや低金利により、国内での信用取引拡大や、生産設備および中間財の輸入増加につながったと分析している。

IMF筆頭副専務理事がスリランカ訪問、経済回復を高く評価

国際機関もスリランカの経済回復傾向を認めている。2025年の実質GDP成長率について、IMFは3.0%、世界銀行は3.5%、アジア開発銀行(ADB)は3.9%と見込んでいる。

IMFのギータ・ゴピナート筆頭副専務理事は6月16日、スリランカ財務省、スリランカ中央銀行およびIMFがコロンボで開催したイベントに登壇し、「大胆な改革とスリランカ国民の努力により、マクロ経済の安定性回復と市民の負担軽減に関して目覚ましい進展が実現している」と強調するとともに、スリランカ政府による歳入確保やガバナンス改善を図る取り組み、債務再編を通じた財政負担の軽減化を称賛した。

他方、同イベントに登壇したアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ大統領は、スリランカが一定の経済的安定性を獲得したことを認めた上で、公共サービスの効率化や腐敗の根絶、外国直接投資の誘致拡大や農村地域の包摂的成長を図る意向を示した。

(大井裕貴、ディロン・ヤシュミタ)

(スリランカ)

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