アイルランドで日本関連ビジネスイベント開催、テック分野での協業について議論

(アイルランド、日本)

ロンドン発

2025年06月24日

ジェトロは5月28日、アイルランド南西部ケリーにあるインキュベーション施設RDIハブ(RDI Hub)で、日本関連ビジネスイベント「Innovate Japan: Ireland’s Gateway to Opportunity」を共催した。アイルランド企業に、日本市場の概要やオープンイノベーションなどの日本企業との協業可能性について説明した。5月26日から28日まで開催された、グローバル・エコノミック・サミット(Global Economic Summit)のサイドイベントとして位置づけられる。

RDI Hubは、アイルランド南西部において起業家向けにメンタリング、オフィススペース提供、アクセラレータープログラムなどのサービスを提供する施設だ。アイルランドを拠点とする大手フィンテック企業のフェクスコ(FEXCO)が、RDI Hubに社屋の一部を提供している。

イベントでは、RDI Hubのプログラムマネージャーによるサポートメニュー説明の後、ジェトロ・ロンドン事務所がJ-Bridge(注)や日本への進出を支援する「Invest Japanプログラム」を中心に事業を説明した。

ファイア・サイド・チャット(暖炉の横で話すようなカジュアルな座談会)として、FEXCOと、同地に製造拠点を持つアステラス製薬の幹部が登壇した。FEXCOは、日本拠点からクレジットカード決済の動的通貨換算サービス(DCC決済)を展開し、「No.1のパートナーである三菱UFJニコスと出会ったことが日本進出のカギ」と述べた。現在は新事業として、航空機の炭素排出量低減に向けたソフトウエアプラットフォーム「PACE」の日本を含むアジア地域での展開に取り組んでいることを説明した。アステラス製薬は、1986年に山之内アイルランドとして同地に進出して以来、地元の経済・雇用に貢献しており、30人でスタートした工場は現在400人を雇用。さらに同地域において、無菌製剤製造ラインを備えた工場を2028年までの操業開始に向け建設中と話した。

パネルディスカッションでは、ジェトロが支援するスタートアップおよび中小企業3社が登壇した。メタバースで取得したリワード(トークン)を実店舗で利用できるシステムを提供するメタドーモ(Metadomo)、スマートグリッド技術と需要側の柔軟性確保のためのサービスに特化するスマートグリッド専門企業のヴァイオタス(Viotas)、次世代暗号化技術を開発し、サンフランシスコに新拠点を設立予定のボルトゥリー(Vaultree)の3社で、日本市場の魅力と進出への熱意、日本企業との協業の可能性、戦略パートナーの重要性について議論した。

ネットワーキングでは、イベントの参加企業も含めて具体的な協業の可能性などにつき活発に議論が行われた。

写真 イベントの様子(ジェトロ撮影)

イベントの様子(ジェトロ撮影)

(注)日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープンイノベーション創出のためのビジネスプラットフォーム。

(尾関康之)

(アイルランド、日本)

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