4月新車販売台数は前年同月比10%減、単月では落ち込むも、1~4月は堅調

(フィリピン)

マニラ発

2025年06月09日

フィリピン自動車工業会(CAMPI)とトラック製造業者協会(TMA)は5月19日、フィリピンの2025年4月の新車販売台数が前年同月比10.0%減の3万3,580台だったと発表した。2022年2月以来初めて前年同月の実績を下回った。

前年同月と比較して、特に減少幅が大きかったのが乗用車で、販売台数は前年同月比35.5%減の6,498台だった。商用車は0.7%減にとどまり、2万7,082台だった。また、電動車(xEV、注)は1,509台で、内訳はハイブリッド車(HEV)1,200台、バッテリー式電気自動車(BEV)286台、プラグインハイブリッド車(PHEV)23台だった。

現地の証券会社レジーナ・キャピタル・デベロップメントの営業部長のルイス・A・リムリンガン氏は「4月の自動車販売の減少は、祝日による販売日数の減少や、2024年の好調な業績による高いベース効果、厳しいローン条件を背景に、消費者の慎重姿勢が続いていることが要因だ」と述べた(5月20日付「ビジネス・ワールド」紙)。4月はキリスト教の聖週間「ホーリーウイーク」などで、前年よりも販売代理店などの休業日が多かったことが要因の1つと指摘されている。また、地場銀行リサール商業銀行(RCBC)のチーフエコノミストのマイケル・リカフォート氏は、米国のドナルド・トランプ大統領による相互関税の影響や、5月に実施された中間選挙前に自動車購入を含む一部の政府支出が禁止されたことなどを理由に挙げた。

一方、2025年1月~4月の累計新車販売台数は前年同期比2.5%増の15万654台と、プラスを維持している。うちxEVは累計6,820台に達した。車種別では、乗用車が19.5%減の3万830台だった。商用車は10.3%増の11万9,824台と顕著な伸びを見せ、そのうち特に小型商用車(LCV)は12.3%増の8万9,693台だった。リカフォート氏は「2024年にフィリピンを襲った暴風雨や台風、洪水といった環境的要因により、スポーツ用多目的車(SUV)やピックアップトラックなど、車高の高い自動車への関心が高まっている」と指摘している(4月15日付「ビジネス・ワールド」紙)。

(注)xEVとは、ハイブリッド車(HEV)とバッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)の総称。2025年からの発表項目のため、前年比データなし。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

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