国際金融公社、セネガルのAIヘルススタートアップに1,000万ドル投資
(セネガル、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA))
アビジャン発
2025年06月18日
世界銀行グループの民間投融資を行う国際金融公社(IFC)は、セネガル発の人工知能(AI)を活用したヘルスケアプラットフォーム「ケラ・ヘルス・プラットフォームズ(KERA Health Platforms)」の開発に最大1,000万ドルを投資する計画を発表した。2025年6月20日の理事会の承認を経て、正式決定する予定だ。
KERA(注)は2023年にセネガルで設立された、医療デジタル化により医療や健康管理の質やアクセス向上に取り組むスタートアップだ。KERAのプラットフォームは、分断された医療情報を統合し、臨床判断の質とスピードを高め、意思決定の効率化を実現させることにより、適切な診断、治療に寄与する。また医療コストの削減、医療インフラが脆弱(ぜいじゃく)な地域でのサービス格差解消、遠隔医療の促進にもつながり、患者や医療従事者双方の利便性が高まる。特にインフォーマルセクター労働者や女性など、脆弱な層への医療アクセス改善を重視している。
KERAはセネガル国内だけでなく、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)地域全体に事業を展開して、地域の医療サービスの向上と医療コスト削減に取り組んでいく計画だ。
IFCは、同プロジェクトの展開を2023年の初期段階からパートナーとして支援しており、資金提供だけでなく、KERAが行う国際的な社会・環境基準の導入、ガバナンス強化、従業員の苦情処理メカニズムの構築などにも協力している(2025年6月6日付「エコフィン・エージェンシー」)。
IFCのモハメッド・グーレッド産業担当副社長は、「KERAとのパートナーシップは、IFCによるデジタルヘルス戦略のデジヘル(Digihealth)とデジファルマ(Digipharma)」への取り組みの証左といえる。アフリカは、人口に対する医師の比率が低く、1,000人あたり約1.5人の医療従事者しかおらず、医療施設の不足にも直面している。AIを活用して臨床ケア管理の精度と質、迅速性を向上させることで、これらのギャップを埋める手助けができるだろう。これらの課題に対応できるよう拡張可能なソリューションの迅速な実現を後押ししていく」とコメントしている。
(注)KERAの創業者は、元Google AIリサーチサイエンティストでアフリカ有数のAI専門家であるムスタファ・シセ氏。チームには、元MTNギニアCEOのパパ・ソウ氏や、元AXAアフリカ最高医療責任者のホサム・マッター氏も参画している。
(渡辺久美子)
(セネガル、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA))
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