第9回「ビバ・テクノロジー」がパリで開催、過去最多の来場者に
(フランス、日本、米国)
パリ発
2025年06月30日
オープン・イノベーションとスタートアップの欧州最大級の展示会「ビバ・テクノロジー2025」が6月11~14日にパリで開催された。主催者発表によると、第9回の今回は来場者が過去最多となる18万人を超え(前年比約9%増)、120カ国以上から1万4,000社を超えるスタートアップが出展し、3,600以上の投資家や投資ファンドが参加した。
「ビバ・テクノロジー」の会場内(ジェトロ撮影)
特別セッションとして、会期初日にエマニュエル・マクロン大統領、米国半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)、フランスの生成AI(人工知能)企業ミストラルAI(Mistral AI)のアーサー・メンシュCEOの対談が行われた。マクロン大統領は、対談当日に発表されたエヌビディアとミストラルAIとの提携(注1)がフランスの主権を強固にするものであると歓迎し、フランスにとってクラウドやAIデータセンター、コンピューティング能力強化といった戦略的自立性の確保が重要と訴えた。
日本企業はオールジャパンで存在感を示す
ジェトロは、在日フランス商工会議所のサポートを得た東京都、愛知県、京都市、仙台市の4自治体と、計34社のスタートアップおよび大手企業2社とともに日系の出展者が集うJapan Villageに出展し、日本のエコシステム全体の発展を来場者にアピールした。そのうち、人工知能(AI)やロボティクス、サステナビリティなどの分野の企業20社は、ジェトロがJapan Village内に設置し支援するジャパンパビリオンに出展した。ジェトロはフランスのアクセラレーターによるメンタリングや、ビジネスコネクション形成をサポートしたほか、SNSなどによる広報や会場内外でのピッチ機会の提供、フランスのラグジュアリー大手LVMH、航空宇宙大手サフランとのトークセッションなどを実施した。その結果、ジャパンパビリオン出展企業はフランス大手企業など計2,200件を超える商談機会の獲得に至った。
Japan Villageの様子(ジェトロ撮影)
また、ジェトロはJ-Bridge事業(注2)の一環として、日本の大手企業4社(清水建設、JX金属、富士通、ヤマトホールディングス)によるAI/脱炭素分野におけるリバースピッチを主催。各社はオープン・イノベーションの取り組みを説明するとともに、スタートアップとの協業・投資を見据えた、自社のビジネス課題の解決やビジネス拡大に資する技術・ソリューションの提案を聴衆に呼びかけた。
多くの参加者を集めたリバースピッチ・イベント(ジェトロ撮影)
次回のビバ・テクノロジーは2026年6月17~20日の開催を予定している。
(注1)ミストラルAIがエヌビディアの次世代画像処理半導体(GPU)アーキテクチャを用いて、AIの迅速な開発や展開、エージェント型AIアプリケーションの導入を可能とするエンドツーエンドのクラウドAIインフラストラクチャーの構築を目指すもの。
(注2)日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープン・イノベーション創出のためのビジネスプラットフォーム。
(井上尚貴)
(フランス、日本、米国)
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