自主的炭素市場の共有原則策定で新連合発足

(シンガポール、ケニア、英国、フランス、パナマ、ペルー)

シンガポール発

2025年06月30日

シンガポール、ケニア、英国の3カ国政府は6月24日、自主的なカーボンクレジット(炭素クレジット)の活用促進を目的とする政府主導の新連合(The Coalition to Grow Carbon Markets)の発足を発表した〔シンガポール国家気候変動事務局(NCCS)プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。2025年11月にブラジルのベレンで開催される国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)までに、国・地域間で一貫性ある共有原則(shared principles)を策定する。共有原則により信頼とインセンティブを企業に提供し、活用の進んでいない気候変動対策資金の活性化を通じて、炭素市場の強化と拡大を目指す。

新連合は、シンガポールのラビ・メノン気候変動対応担当大使、ケニアのアリ・モハメド気候変動特使、英国のレイチェル・カイト気候変動特別代表が共同議長を務める。フランスとパナマが初期メンバーとして参加を表明しているほか、ペルーが新連合の使命の支持を表明した。炭素クレジットの需要国と供給国の双方からの参加により、新連合の参加国が拡大する予定とされている。

新連合には、国際商業会議所(ICC)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が協力団体として加わる。また、炭素クレジットの基準策定を担う「自主的炭素市場のための十全性評議会」(ICVCM)も需給調整を支援する役割を担う。

シンガポール政府、自主的炭素市場の指針案公表

シンガポール政府は新連合設立発表前の6月20日、自主的炭素市場の指針案を公表した〔NCCS、シンガポール貿易産業省(MTI)、企業庁(EnterpriseSG)による共同プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。同指針案には、企業が自主市場で購入したクレジットが国の排出削減実績に算入されないことなどが盛り込まれた。同指針案はシンガポール政府共同プレスリリース(既出)が掲載されているウェブサイトで公開されており、7月20日まで意見募集が専用ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて受け付けられている。

(朝倉啓介)

(シンガポール、ケニア、英国、フランス、パナマ、ペルー)

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