浜松市でスタートアップの海外展開に向けたマインドセットセミナーを開催

(世界)

浜松発

2025年06月06日

ジェトロは529日、静岡県浜松市のスタートアップ支援拠点FUSE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、スタートアップ、学生・研究者、企業の新規事業担当者を対象に、海外展開支援に向けたマインドセットを培うためのセミナーを開催した。愛知県、名古屋市、浜松市などで構成する「Central Japan スタートアップ・エコシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の機能強化が進む中、本セミナーは、地域のスタートアップなどの海外展開に向けた挑戦を後押ししようとジェトロが企画した。セミナーは会場とオンラインを併用したハイブリッド形式で行われ、起業を目指す個人や学生、大学・金融機関関係者など約30人が参加した。

冒頭では、静岡ベンチャースタートアップ協会(SVSA)理事長を務めるエバーコネクト代表取締役の篠原豊氏が登壇し、スタートアップや起業家が「いま」海外を目指す意義について語った。あらゆる事業のライフサイクルが短命化している現状を踏まえ、サーフィンに例えて、「波が来てから動くのでは遅い。波が来る前に沖に出る必要がある」と述べ、今こそ行動を起こすべきタイミングであると強調した。また、急速に進化するイノベーションの世界では、人工知能(AI)では捕捉しきれない潜在ニーズや文脈に即したデータをいかに迅速に収集し、活用できるかが鍵になると指摘。潜在ニーズを探るには、日本にとどまらず、世界のイノベーションの現場に自ら赴き、先進技術やユニークなサービスに触れて刺激を受けることが重要だと訴えた。

写真 SVSA理事長の篠原氏による基調講演の様子(ジェトロ撮影)

SVSA理事長の篠原氏による基調講演の様子(ジェトロ撮影)

続いて、経済産業省とジェトロが実施する起業家育成プログラム「J-StarX」の参加者による経験談が紹介された。浜松医科大学 医学部医学科の松田眞依氏は、「J-StarX/学生 Bio/Medical コース」に参加し、ボストンとニューヨークに渡航。20日間のプログラムを通じて、起業への道筋が明確になり、自身の事業プランの解像度が高まった、と語った。また、「J-StarXLocal to Global Success コース」に参加しロンドンへ渡航したTSK専務の窪野茂氏は、「言語の壁があるから海外に挑戦できない」との考えは誤りであり、英語を使わざるを得ない環境に自分を置くことで、世界に通用するプレゼンテーション能力が磨かれ、事業のブラッシュアップにもつながった、と振り返った。同じく「Local to Global Success コース」でシリコンバレーを訪問したYummy Deco代表の田中知聡氏は、異業種の参加者との交流を通じて既存の発想を見直すきっかけになった、と説明。現在も当時の参加者と定期的に情報交換を行っており、プログラムで得たネットワークは今後の海外展開において大きな力になると強調した。

写真 「J-StarX」参加者によるパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

「J-StarX」参加者によるパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

最後に、ジェトロ スタートアップ課の鵜飼夏海課員が登壇し、起業家やスタートアップによる海外展開への挑戦を後押しするジェトロの支援プログラムを紹介。現地のアクセラレーターからのフィードバックを得たり、ネットワークを構築したりすることが可能となる点を強調した。

(杉山希実)

(世界)

ビジネス短信 98c36569479f7d5c