ブラジルの5月物価、前月比0.26%上昇、電気代上昇が影響

(ブラジル)

サンパウロ発

2025年06月19日

ブラジル地理統計院(IBGE)は6月10日、同国の代表的な物価指数の拡大消費者物価指数(IPCA)について、5月の上昇率を前月比0.26%と発表した(添付資料表参照)。1~5月累計では2.75%、直近12カ月の上昇率は5.32%に達した。中央銀行が設定する2025年のインフレ目標値(目標値3.0%、上限4.5%)を8カ月連続で上回った。

費目別上昇率(前月比)をみると、交通・運輸(マイナス0.37%)および家庭用品(マイナス0.27%)以外の7項目が上昇した。特に住居関連(1.19%)が最も上昇率が高かった。IBGEのフェルナンド・ゴンサルベス物価指数アナリストは「住居関連では、電気代が3.62%上昇し、寄与度は0.14ポイントで最も高かった。主な要因は5月に導入された追加料金だ」と説明した。ブラジルでは、電気代の追加料金は水力発電所のダム貯水量や火力発電所の稼働率を基に算定される。5月は、4月25日付国家電力庁(ANEEL)のリリースで発表していたとおり、降雨量不足で貯水池の水が減少し、追加料金が適用されたため、電気代が上昇した(注)。

一方、交通・運輸では、航空券(マイナス11.31%)と燃料(マイナス0.72%)が最も下落した。また、IBGEによると、飲食料品は上昇したものの、5月の上昇率が4月より低かったため、IPCA全体の上昇率の抑制にも貢献した。特にトマト(マイナス13.52%)、コメ(マイナス4%)、卵(マイナス3.98%)が大きく低下した。トマトについては、「冬の収穫(南半球のため6~8月ごろ)が(早めに)進み、供給が拡大し、価格が低下した」とゴンサルベス氏は説明した。

(注)追加料金は「緑」「黄色」「赤1」「赤2」の4段階の色で示される。「緑」の場合には追加料金はないが、「黄色」は100キロワット時(kWh)当たり1.89レアル(約49円、1レアル=約26円)、「赤1」は同4.46レアル、「赤2」は7.88レアルが追加で徴収される。4月に「緑」だった電気料金は、5月には、「黄色」に設定された。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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