ブラジル中銀、7会合連続の利上げ決定、政策金利は15%に

(ブラジル)

サンパウロ発

2025年06月30日

ブラジル中央銀行は6月17~18日に金融政策委員会(Copom)を開催し、政策金利(Selic)を14.75%から15.00%に、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げた。2024年9月の会合以降7回連続の利上げとなった。利上げ幅は5月の前回会合時(50bp)から縮小した。

Copomは利上げの外的要因として、米国の関税政策が世界経済に与える不確実性を挙げた。また、内的要因には、経済成長や労働市場の活性化が続く中で、総合インフレ率がインフレ目標を上回ったことなどを指摘した。6月13日付の中銀週次レポート「フォーカス」(注1)によると、2025年の拡大消費者物価指数(IPCA、注2)上昇率予測は5.25%となり、中銀のインフレ目標範囲3%±1.5%(1.5~4.5%)に収まっていない。

24日に公開された会合後の議事要旨では、中銀が利上げサイクルの中断を検討していることが明らかとなった。ただし、IPCA上昇率予測が依然としてインフレ目標範囲を上回っている点などを考慮し、利上げを停止する場合にも、現状の政策金利を長期にわたって維持し、その水準の適切性について評価するとしている。なお、Copomは、利上げサイクルの中断はあくまでも選択肢の1つで、状況に応じてその継続も視野に入れている点を強調している。

全国工業連盟(CNI)は6月18日、公式サイト上で、Copomの決定を批判した。「Selicを引き下げないと、ブラジル経済やブラジル人への負担は減らない。このままだと、ブラジルで投資することが極めて難しくなり、経済への悪影響も大きい」と、CNIのリカルド・アルバン会長は述べた。

(注1)フォーカスは、中銀が国内100以上の金融機関を対象に行ったアンケートを集計し、予測などをまとめたもの。毎週金曜日に集計を行って平均値を算出し、翌週の月曜日に公表する。

(注2)ブラジルの代表的な物価指数。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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