エスワティニ首相が来日、万博ナショナルデーに合わせビジネスフォーラムを大阪で開催

(日本、エスワティニ)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年06月05日

エスワティニ(旧スワジランド)政府は63日、大阪・関西万博におけるナショナルデー開催に伴うラッセル・ミソ・ドラミニ首相の来日を契機として、エスワティニビジネスフォーラムを万博会場内で開催した。首相や商工貿易相が登壇して、同国でのビジネスの魅力をPRし、日本企業に対して投資を呼びかけた。

ドラミニ首相はあいさつで、今回の万博への出展について、エスワティニの伝統と豊かな自然の紹介だけでなく、日本との関係強化とそれに伴う経済発展、投資誘致、観光促進を目的としていると言及。日本との貿易においては、輸入超過状況を変えるべく、一般特恵関税制度(GSP)を活用して、木材、かんきつ類、工芸品、ジャムなどの輸出を強化していきたいと語った。投資誘致については農業、再生可能エネルギー、鉱業などの分野に魅力があるとし、受け皿となるビジネス環境についてはYKKが約50年にわたりファスナー工場を操業していることがその良好さを示すものだと強調した。また、エスワティニは南部アフリカ関税同盟(SACU)、南部アフリカ開発共同体(SADC)、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)などを通じて、巨大なアフリカ市場のゲートウエーとなっていると述べた。20258月に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)では、貿易、投資、技術移転の面で、日本の関係機関との協力強化を図りたいと意欲を示した。

写真 ドラミニ首相によるスピーチ(ジェトロ撮影)

ドラミニ首相によるスピーチ(ジェトロ撮影)

マンコバ・クマロ商工貿易相は、エスワティニの投資環境を紹介した。同国の強みとして、a.文化遺産・伝統の保護と平和と安定を大切にする文化があり、アフリカ諸国の中でも高い安定性を有すること、b.教育水準と熟練度の高い労働力の存在、c.南アフリカ共和国とモザンビークに隣接し、鉄道、航空、道路インフラが整備されているため、南部アフリカにおける物流ハブとなること、d.自由貿易協定(FTA)を通じて巨大市場へのアクセスが可能なこと、e.経済特区や優遇税制などの支援スキームがあること、などを挙げ、コカ・コーラなどの多国籍企業がすでに進出していると語った。

ジェトロの仲條一哉理事は、日本企業が近年、アフリカビジネス拡大に高い意欲を持っており、海外での投資を決定する際には、市場規模のみならず、信頼できるサプライチェーンの構築の可否が鍵を握ると指摘。また、同国が加盟しているFTA網は日本企業にとって大きなメリットとなると述べた。ジェトロは、8月のTICAD9で「TICAD Business Expo & Conference」を開催し、エスワティニやアフリカ各国にビジネス環境PRの場を提供する。その場を通じた日本との経済交流の活性化への期待を述べた。

このほか、YKKの代表者が登壇し、エスワティニでビジネスを行うメリットとして、政治の安定に伴う予見可能性の高さ、良質な労働力の存在、FTAの存在、法人税率の低さなどを挙げた。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(齋藤寛)

(日本、エスワティニ)

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