メキシコで初の司法選挙実施、投票率は1割台

(メキシコ)

調査部米州課

2025年06月06日

メキシコで初の裁判官を国民投票で選出する司法選挙が6月1日に実施された。最高裁判所判事のほか、司法規律裁判所、高等管区裁判所、初等地区裁判所の裁判官などで、連邦レベルでは881人、地方レベルと合計すると、1,800人以上のポストが対象となった。国家選挙機構(INE)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、最高裁判所判事への投票については、5日時点で全ての開票が終了しており、投票率は13%だった。他のポストについても、開票が順次行われる予定だ。

この選挙は、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)前政権下で進められた司法改革の一環で、クラウディア・シェインバウム現政権が引き継いだ。最高裁判所判事の選定では、行政府と立法府、司法府がそれぞれ指名権を持っているなど、現政権が影響力を持つ行政府と立法府の意向が強く反映されるため、司法の独立性が危ぶまれるとの指摘もあった(2024年9月26日記事参照)。

シェインバウム大統領は6月1日のSNS投稿で、「メキシコは真に法の支配下に置かれ、世界で最も民主的な国となった」と成果を強調した。一方で、無効票が投票総数の1割以上と通常の選挙を上回ったほか、特定の裁判官への投票を促す広告紙の配布が報告されるなど、選挙の正当性を疑問視する報道もある(「エル・フィナンシエロ」紙など各社報道)。

最高裁判所判事の当選枠は以前の11人から9人に減少し、今回から女性5人、男性4人の性別枠が定められた。正式発表はまだされていないものの、長官には、現時点で最多の得票数の先住民出身の弁護士、ウーゴ・アギラル氏が有力視されている。今後、開票作業と審査を経て、6月中旬ごろに正式な結果が発表される予定だ。

(加藤遥平)

(メキシコ)

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