米国の鉄鋼・アルミ追加関税50%、ブラジル産業界が懸念表明
(ブラジル、米国)
サンパウロ発
2025年06月12日
ブラジル産業界は、米国のドナルド・トランプ大統領が6月3日に発表した1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品の米国輸入に対する追加関税率を25%から50%に引き上げる大統領布告(2025年6月4日記事参照)に対し、懸念を表明し、批判した。
ブラジル・アルミニウム協会(Abal)は公式サイト(6月4日付)で「今回の措置により、不確実性が拡大する」と指摘した。全国工業連盟(CNI)も6月4日付の公式フェイスブックページで同様の見解を示した。
ブラジル鉄鋼協会のマルコ・ポロ・ロペス会長も現地紙「CNNブラジル」(6月5日付)のインタビューで、「今回の決定により、トランプ大統領は、既に困難に陥っている状況をさらに悪化させる。鉄鋼製品の米国輸入に対する追加関税が25%に引き上げられた3月12日以降、ブラジル産鉄鋼製品の米国向け輸出量は10~15%減少した。今回の決定では、輸出量はさらに減少する見込みだ。しかし、最終的に負担を負うのは米国の輸入事業者や米国の消費者だ。価格が上昇するため、消費者が最大の被害者になるだろう」と述べた。
また、ロペス会長は「3月12日までは、鉄鋼製品に対して適用除外の数量割当制度が実行されていた(注)。われわれはこの制度が復活することを期待している。米国は今回、英国向けには追加関税率を25%に据え置く例外措置を認めた。これは、交渉の余地があることを意味する。このため、数量割当制度の復活が可能だと確信している」とも強調した。
(注)ブラジル鉄鋼協会公式サイト(4月3日付)によると、数量割当は鉄鋼半製品(スラブ)に対して年間約350万トン。最終製品(圧延鋼材)に対しては年間68万7,000トンだった。2024年のブラジルからの鉄鋼半製品の対米輸出量は340万トンだった。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、米国)
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