シェインバウム大統領支持率、2カ月連続で70%超
(メキシコ)
メキシコ発
2025年06月20日
調査会社のミトフスキーが5月に実施した世論調査(注1)によると、クラウディア・シェインバウム大統領の支持率が70.4%に上ることが明らかになった(「エル・エコノミスタ」紙6月16日)。2024年10月の就任以降、8カ月にわたって支持率は上昇し続け、4月には初めて70%を超えた。5月は就任時の61.5%から8.9ポイント上昇し、2カ月連続の70%超となっており、特に女性や若い世代(18~29歳)から多くの支持を得ている。
「大統領選ではシェインバウム氏に投票しなかった」人々の支持率が就任当初の26%から43%に上昇し、シェインバウム氏の所属政党(国家再建運動、通称MORENA)の支持者ではない人々の支持率も上昇傾向(注2)にある点が最大の特徴だ。
アンケート回答者の半数以上が懸念事項としたのは「治安」(61.2%)で、続く「経済」(15.4%)、「健康」(14.1%)に大差をつけた。治安については「悪化した」という回答が41%、「改善した」が34.7%、「変わらない」が23.7%だった。経済状況については「変わらない」36.8%、「改善した」33.1%、「悪化した」28.9%と、回答割合に大きな差はつかなかった。
同国の歴代大統領の就任時と退任時の支持率の差は大きい。ビセンテ・フォックス・ケサダ氏(2000年~2006年)は21.7ポイント減、フェリペ・カルデロン・イノホサ氏(2006~2012年)は11.2ポイント減だった。エンリケ・ペニャ・ニエト氏(2012~2018年)は、治安の悪化と後を絶たない汚職スキャンダルによって国民の信頼を失い、就任当初の56.4%から32.3ポイント減の24.1%という低い支持率で大統領の座を退いた。2018年に就任したアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏(2018~2024年)は就任時の62.6%からわずかに1.3ポイント減の61.3%で、「愛娘」と呼ばれるシェインバウム氏に政権を引き渡した。
米国のドナルド・トランプ政権との交渉はもちろん、国内の治安悪化や国営企業の経営改善、エネルギー政策、労働環境の改善など、シェインバウム政権が残り任期で対応すべき課題は山積みだ。比較的低い支持率にとどまる「大卒以上」(5月時点:55%)、「起業家」(同52.9%)、「士業」(同51.9%)といった層の支持を集めるには、よりビジネスフレンドリーな施策を講じていくことも重要になるだろう。
(注1)調査は、18歳以上のインターネットにアクセス可能なスマートフォンなどの端末を所持するメキシコ人4万1,183人に対して行われた。
(注2)MORENAとは政治思想が異なる制度的革命党(PRI)支持者の支持率は、就任当初の20%から40%に、国民行動党(PAN)支持者の支持率は9%から27%に上昇した。
(渡邊千尋)
(メキシコ)
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