保険業団体、リマ首都圏直下型地震の場合50万棟以上の住宅が使用不可と試算
(ペルー)
リマ発
2025年06月24日
ペルーの地元経済紙「ヘスティオン」(6月18日付)は、ペルー保険業協会(Apeseg)がリマ首都圏でマグニチュード(M)8.8の直下型地震が起きた場合、50万棟以上の住宅が使用不可となり、政府による仮設住宅の設置費用は1,000億ドルを超えると試算している、と報じた。
Apesegによると、首都圏の住宅の71%が専門業者の入らない手造りで、所得が低い世帯ほど手造り住宅に住む割合が高くなるという。そのため住宅を失う世帯の多くは、仮設住宅のほか衛生面の公的支援も必要となるため、政府による援助額が増加する。
リマ首都圏は、コスタと呼ばれる年間降水量が数ミリの海岸地域にある。雨が少ないコスタでは、建築資材を少しずつ買い集め、四方に壁を作ることで屋根がなくても生活できるため、手造り住宅が広く浸透している。ピウラ大学のヤン・チャン教授は「手造り住宅が建築基準を満たしていないとは断言できないが、費用負担の問題から全ての手造り住宅で建築基準審査を受けさせることは難しいだろう」と指摘する。
環境省傘下のペルー地球物理学研究所(IGP)は、ペルーはナスカプレートと隣接し、1746年のリマ・カヤオ地震(M8.9)以降、大地震が起きていないことから、大規模地震はいつでも起こり得るとしている。
2025年6月15日には、リマ首都圏でM6.1の地震が発生し、死者が出た。その後、SNS上では「IGP公式」を名乗る偽アカウントから、ペルー政府による地震発生予想という誤った情報が拡散された。IGPは6月18日にプレスリリースを行い、地震発生日は予想できず、IGPからそのような情報は発信していないので、誤った情報を信じたり拡散したりせず、冷静に判断するよう国民に呼びかけている。
(石田達也)
(ペルー)
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