ホーチミン市環状道路の一部着工、社会課題解決のインフラ整備進む

(ベトナム)

ホーチミン発

2025年06月25日

ベトナム南部ホーチミン市の環状4号線のうち、ビンズオン省を通過する全長47.8キロの区間が6月18日に着工した(VNエクスプレス6月18日)。この区間は設計速度が時速100キロの4車線で構成し、2027年に完成を予定している。同区間の建設は同国の工業投資開発公社(ベガメックスIDC)と同社傘下のベカメックス・インフラストラクチャー・デベロップメント(ベガメックスIJC)、交通インフラへの投資・建設事業を手がけるデオカグループの共同事業体が官民パートナーシップ(PPP)方式で受注した。環状4号線プロジェクトは全長207キロに及び、投資総額は120兆4,000億ドン(約6622億円、1ドン=約0.0055円)。このうち、今回着工した区間の投資額は11兆7,000億ドンを超える。

一方、ホーチミン市の環状3号線では、全長76キロのうち41.4キロの区間について、2025年12月までの試験開通を目指し、工事が加速している。建設省によると、建設会社への土地引き渡しは完了しているものの、現場に資材搬入が遅れており、ホーチミン市は資材の運搬を迅速化する予定だという。同市環状線プロジェクトの完成は、南部地域全体の経済発展への貢献が期待されている。

ホーチミン市、公共交通の活用推進

その一方で、ホーチミン市は経済発展や人口増加に伴い、交通渋滞や大気汚染といった課題を抱えている。こうした課題の解決に向けて、同市は環状道路などの交通インフラ整備を進めるとともに、短期的な対応として住民に公共交通の利用を呼びかけている。

市内では多くのバスが運行されているが、ホーチミン市は2030年までにこれらを電気やグリーンエネルギーを活用した環境配慮型のバスに置き換える計画を進める。同市建設局道路交通管理部長のゴ・ハイ・ズオン氏によると、市内では現在138路線で合計2,221台のバスが運行されており、そのうち環境配慮型バスは37路線の計688台、全体の約31%を占めている(注1)。市の計画では、フェーズ1として2030年までに環境配慮型バスの導入や充電施設の整備を進め、フェーズ2で全ての交通手段に排出規制を導入する予定だ(「ブランドと世論」5月23日)。

また、2024年12月22日にベンタイン~スオイティエン区間で開通した都市鉄道1号線(2025年1月14日記事参照)も、新たな移動手段として定着しつつある。6月14日時点の延べ乗客数は999万7,000人に達し、開業から6カ月経過を前に1,000万人を超える見込みだ。1日平均の乗客数は5万7,000人、週末には7万人以上が利用している。キャッシュレス決済での手段も拡充されており、6月からは電子決済のザロペイ(Zalo pay、注2)も利用可能となったことで、鉄道利用を検討する市民の増加が期待される(「トイチェ」6月7日、6月16日)。

(注1)環境配慮型のバスは、電気が19路線で160台、圧縮天然ガス(CNG)が18路線で528台が運行中。

(注2)ベトナムのメッセージアプリのザロ(Zalo)を展開するVNGコーポレーションが提供する電子決済サービス。

(小林真龍、ティエン・グエン)

(ベトナム)

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