ジェトロ、米テキサス州ダラスでトランプ通商政策のセミナー開催
(米国)
ヒューストン発
2025年06月25日
ジェトロは6月12日、米国テキサス州ダラスで、ダラス日本人会商工部会との共催で、「米国の通商政策と貿易投資の見通し」と題し、セミナーを開催した。ジェトロ・ニューヨーク事務所の赤平大寿調査担当ディレクターが講師を務め、トランプ政権の関税政策を中心に、最新の動向を紹介した。
同セミナーはトランプ政権が相次いで打ち出す複数の関税措置に対し、情報の整理と把握、他企業の動向などを知りたいという在ダラス日系企業からの要望が多いことを受けて開催した。トランプ政権の通商政策と日本企業への影響、日本企業の対応策などについて、ジェトロによる各種アンケート調査の結果なども交えて、解説を行った。
日本企業の対応策について、まずは取引先との価格転嫁交渉が目下の対応策で、多くの業界で足元ではまだ価格引き上げの動きはみられないものの、夏以降にかけて価格転嫁がなされる可能性があることに言及した。また、この関税措置を受けたサプライチェーンの移管には否定的な声が多いことなどを日系企業の動きとして挙げた。
質疑応答も活発に行われ、関税政策が物価に影響を与える時期はいつごろか、関税発動の理由に挙げられる貿易赤字や不法移民、合成麻薬フェンタニルなどの中で、ドナルド・トランプ大統領の関心が高いのはどの分野なのかといった質問が出された。
このセミナーには、ダラス日本人会商工部会会員企業の社員が約60人参加した。終了後も個別に、鉄鋼・アルミの派生品の通関に必要な書類(注)など、具体的な実務に関する質問や、国際緊急経済権限法(IEEPA)関税に対する訴訟の見通しなどの質問が寄せられ、トランプ政権の関税政策に対する関心の高さと対応に苦慮する日系企業の様子がうかがえた。
(注)鉄鋼・アルミ派生品の一部は輸入申告価格ではなく、輸入される製品に含まれる鉄・アルミの価格に対してのみ追加関税が課される。そのため、含有量を証明する書類の提出が求められる。
(島田英樹)
(米国)
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