第1四半期GDP成長率は前期比0.2%、自然災害など影響し成長鈍化

(オーストラリア)

シドニー発

2025年06月20日

オーストラリア統計局(ABS)は6月4日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前期比0.2%だと発表した(添付資料表1、表2参照)。前年同期比では1.3%となり、前期から伸びなかった。ABSは、当期の経済成長は緩やかだったとした。要因として、異常気象でサイクロンが発生した結果、国内最終需要と輸出が減少し、特に鉱業、観光業、海運業で影響が大きかったと説明した。民間需要に代わって、2024年の成長を下支えした政府最終消費支出は、前期からの伸びがなかった。

需要項目別でみると、民間最終消費支出は前期比0.4%増加した。食料品や家賃などの必需品への支出や、南半球の夏にあたる当期の平均気温上昇も一因となり、電気やガスへの支出が増加した。国内総固定資本形成は0.1%増に減速した。うち、民間部門は0.7%増となり、住宅や新築ビルなどへの投資が成長を牽引した。非住宅建設では、鉱業や製造業プロジェクトへの投資の増加に加え、発電・配電プロジェクトの建設も引き続き増加した。一方で、機械設備への投資は減少した。また、公共部門は、エネルギー、通信、鉄道と道路のプロジェクトの遅延やプロジェクト完了も影響し、2%減少した。政府最終消費支出はゼロ成長だった。連邦政府の防衛支出が増加したが、州・地方政府の社会保障関係の支出が減少したことで相殺された。財貨・サービスの輸出は、悪天候による石炭および液化天然ガスの輸出減が影響し、0.8%減少した。財貨・サービスの輸入も、資本財の輸入減により0.4%減少した。

産業別にみると、農林水産業(前期比4.3%増)、その他サービス(3.6%増)、情報通信業(2.1%増)が成長に寄与した。農林水産業は、米国での輸入需要の継続が畜産物の生産額を支え、当期の成長を牽引した。主要産業の鉱業は2.0%減だった。石炭、石油・ガス、鉄鉱石とすべての分野でマイナス成長になった。クイーンズランド州と西オーストラリア州でのサイクロンによる悪天候での生産減が影響した。

ジム・チャルマーズ財務相は、今回の発表を受けて「政府支出の減少、不確実性の高い世界経済、自然災害の影響を受け、成長率は予測を下回った。民間需要や民間投資は緩やかに回復してきた。今回の指標は回復が続いていることを示しており心強い」と説明した。

(山崎美樹)

(オーストラリア)

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