ニューサウスウェールズ州産業貿易相が韓国と日本訪問、覚書を締結

(オーストラリア、韓国、日本)

シドニー発

2025年06月13日

オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州政府は、アナラック・チャンシボン産業貿易相がソウル、東京、大阪を訪問したと5月30日に発表した。

訪問直前の5月17日に発表したNSW州貿易投資戦略2035では、韓国と日本を最も重要な貿易相手国(注1)として位置付けている。今回の訪問は、輸出の多様化や投資誘致、新築住宅の建設促進、ネットゼロへの移行、現地製造業の強化を推進するため、両国とのビジネス機会の創出を目的としており、クリーンエネルギーや建築技術に強みを持つ日韓企業を訪問した。韓国では、サムスン物産、現代自動車グループ、日本では出光興産、三菱重工などの企業を訪問した。

科学技術分野では、チャンシボン産業貿易相の立ち会いの下、韓国科学技術院(KAIST)とニューサウスウェールズ大学(UNSW)が運輸・バイオテクノロジー分野の産学連携の強化と共同研究開発、スタートアップ企業の交流プログラム(スタートアップ向けワークスペースの提供や投資家への紹介)などの覚書(MOU)を締結した。

NSW州政府はインフラ分野では、日本の都市再生機構(UR都市機構)と、新たに公交通指向型開発(TOD、注2)支援など含む住宅分野での連携強化に向け、MOUを締結した。なお、2018年にNSW州政府はUR都市機構と、2026年に完成予定の西シドニー空港周辺地区の技術協力に係るMOU(2019年4月24日記事参照)を締結している。

チャンシボン産業貿易相は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)にも出席し、NSW州の貿易投資機会について、日本企業の経営者にスピーチを行った。スピーチでは「日韓両国とMOUを締結できたことに非常に喜ばしい。これらの覚書は貿易・投資機会の最大化を目指すNSW州貿易投資戦略2035の目標を達成する上で、重要な役割を果たすだろう」と述べた。

(注1)ほかにも、東南アジア、中国、北米・南米、インド、中東、英国、欧州が挙げられている。

(注2)自動車に依存せずに公共交通機関の利用を前提とした都市開発モデル。

(山崎美樹)

(オーストラリア、韓国、日本)

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