世界初のカカオ廃棄物によるバイオマス発電所建設へ

(コートジボワール)

アビジャン発

2025年06月25日

コートジボワールの独立系発電事業者(IPP)ソデン(SODEN/SOCIETE DES ENERGIES NOUVELLES)と、オランダの投資ファンドCFM(気候ファンドマネジャー/Climate Fund Managers、注1)は6月3日、中南部のディボ市で、世界初となるカカオ廃棄物を燃料とする系統連系型発電所(注2)の建設に向け、300万ドルの開発資金提供契約を締結した。

このプロジェクトは、CFMが運営するEU支援の気候投資家2号(CI2)ファンド(注3)を通じて資金調達し、2026年のファイナルクローズ時に最大3,500万ドルの出資が見込まれる。

発電所の規模は76メガワット(MW)で、年間約60万トンのカカオ殻、カカオポッド(注4)、不良豆や、ゴムの木の残りかすを燃料とし、年間550ギガワット時(GWh)の電力供給を見込んでいる。運転開始は2029年を予定している。これにより、毎年30万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減と、3,900人を超える雇用創出、年間680万ユーロの経済効果が見込まれ、加えて、約3万6,000軒の小規模カカオ農家に追加の収入をもたらすという。

SODENの最高経営責任者(CEO)のヤピ・オグー氏は「毎年、何百万トンもの未活用の廃棄物が生じているが、生産者には収入をもたらしていない。この未開拓の資源を活用して、クリーンで信頼できるエネルギーを生み出すことで、国が抱える課題を持続可能な成長と農村の繁栄、エネルギーシステムの強化の機会に変えていきたい」と述べた。

この取り組みは国内バイオ燃料産業の育成とも連動している。世界有数のカカオ豆、天然ゴム、パーム、綿花の生産国コートジボワールは、バイオマスの潜在力が大きい。こうした農業資源を活用することで、同国はエネルギー転換戦略を加速させている。これまでにもアブラヤシ廃棄物を使用したバイオマス発電や、ゴムの木の廃棄物を使ったバイオ燃料製造プロジェクトに着手している。

政府は2030年までに再生可能エネルギー比率を45%(水力33%、バイオマス・太陽光12%)に引き上げる目標を掲げ、発電・送電・配電インフラ拡充と、クリーンエネルギー推進のために、20億ドルの民間投資誘致を目指している。

(注1)気候ファンドマネジャー(Climate Fund Managers、CFM)は、オランダの開発銀行FMOと南アフリカ共和国のサンラムグループのSanlam InfraWorksとの共同事業

(注2)再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社の送電網・配電網に接続して利用する発電所。

(注3)CFMが運営するEU支援の気候投資家2号(CI2)ファンドは、公的資金と民間資金を組み合わせて投資規模を拡大するブレンデッドファイナンスの金融手法を活用。主に発展途上国の開発ファイナンスに利用されている。

(注4)カカオポッドはラグビーの球状のカカオの果実。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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