バングラデシュセミナー開催、ユヌス首席顧問立ち会いで覚書6件交換

(バングラデシュ、日本)

ダッカ発

2025年06月03日

ジェトロは5月30日、バングラデシュ暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問の訪日に合わせ、国際協力機構(JICA)と「バングラデシュビジネスセミナー」を東京で共催した。セミナーではユヌス氏が立ち会い、日本企業などとバングラデシュ側との6件の協力覚書(添付資料表参照)の交換式典を行った。

ユヌス氏は首席顧問に就任後は初めての訪日で、基調演説には会場に集った200人超とオンライン視聴者150人が耳を傾けた。同氏は2024年8月に暫定政権を率いてからの約10カ月について、「歴史的なチャレンジで、バングラデシュの基礎を築いている」と述べた。また、日本はバングラデシュが苦しい状況でも手を差し伸べる良き友であり、南部マタバリの深海港開発を例に、日本の詳細な計画を両国でともに実現し、日本の経験をバングラデシュに生かしていきたいと語った。

写真 基調演説を行うユヌス首席顧問(ジェトロ撮影)

基調演説を行うユヌス首席顧問(ジェトロ撮影)

セミナーではこのほか、ルトフェ・シディキ国際問題担当首席顧問特使がバングラデシュの投資環境について発表したほか、日本とバングラデシュの両政府が支援し、住友商事が開発・運営する「バングラデシュ経済特区(BSEZ)」の河内太郎社長や、食品やバイオ燃料事業を手掛けるユーグレナの若原智広・取締役代表執行役員 Co-CEO 兼 CFiOなどがバングラデシュ事業を説明した。

セミナーに出席したあるバングラデシュ現地法人関係者は「リーダーが今後の道筋を示していることは心強い」と述べ、同国の今後の成長にも期待できるとの見方を示した。

ユヌス氏は、日本経済新聞社が主催する日経フォーラム「アジアの未来」での演説のために訪日していた。5月30日朝には石破茂首相と会談し、2国間経済連携協定(EPA)の早期合意に向けて、交渉を加速することなどを確認した。また、ユヌス氏は日本政府による計約1,520億円の円借款2件の供与に関する書簡の署名・交換にも立ち会った。

(今野至、安藤裕二)

(バングラデシュ、日本)

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