電子インボイス義務化、6月1日から年間売り上げ10億ドン以上の個人事業主も対象に
(ベトナム)
ホーチミン発
2025年06月03日
ベトナム政府は3月20日に公布したインボイスに関する政令123/2020/ND-CPの一部を改正・補足する政令70/2025/ND-CPを6月1日から施行した。これにより、年間売上高が10億ドン(約550万円、1ドン=約0.0055円)以上の事業者(企業、家族事業体、個人事業主、注)は、税務当局とデータ連携が可能なレジから発行される電子インボイスの使用が義務付けられる。規定に従っていないインボイスの作成、商品販売やサービス提供時に購入者へインボイスを発行しなかった行為に対しては、200万~2,000万ドンの罰金が科される(政令125/2020/ND-CP第24条第4項、5項)。
米国の調査会社ニールセンによると、ベトナムでは伝統的なトラディショナルトレード(市場や個人商店)が市場全体の売上高の75~83%を占めている(ベトナム・ニュース5月16日)。小規模事業者の多くは長年、手作業の会計に慣れてきたため、今回の電子インボイス導入により、税務当局とのデータ連携のためのシステム導入などで、数千万ドン程度の追加投資が必要とされている(「ビジネス・フォーラム・マガジン」5月25日)。
電子インボイスの対象拡大に合わせ、各地域でも普及の取り組みが進む。例えば、ホーチミン市人民委員会は税務当局と連携して、企業や個人事業主に対する税務管理を強化し、同市内のレジから発行される電子インボイスの導入促進を要請している。また、同市ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の移行過程にある企業を支援するため、電子インボイスのソリューションを提供する企業と協力し、税務当局の基準に準拠した電子インボイスソフトウエア内蔵のレジや、税務当局とのデータ連携システムの導入に関するコンサルティングを無償で提供している(ベトナム政府電子版5月22日)。
(注)対象となる事業者は、消費者への直接販売・サービス提供を行う事業者で、小売業(自動車、二輪車、その他の動力付き車両を除く)、飲食業、ホテル、旅客輸送サービス、道路輸送サービス、芸術・娯楽・エンターテインメントサービス、映画館、その他ベトナムの経済部門システムに関する規制に準拠した個人的なサービスを提供する者。
(新田和葉、ティエン・グエン)
(ベトナム)
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