コートジボワールが大阪でフォーラム開催、日本とアフリカを結ぶ投資拠点に
(コートジボワール、日本)
企画部企画課
2025年06月19日
コートジボワール政府は6月12日、大阪・関西万博で行われた同国のナショナルデーに合わせて、「コートジボワール投資ビジネスフォーラム」を大阪市内で開催した。
同フォーラムでは、日本との経済関係強化と、アフリカ全体への架け橋としての同国の可能性に注目が集まった。
開会あいさつで、経済産業省の辻阪高子大臣官房審議官は、2024年12月に同国のアビジャンで開催された第3回日アフリカ官民経済フォーラムで発表した日アフリカ産業共創イニシアチブが始動したことを紹介するなどし、日本企業のアフリカ進出事例を引き続き増やしたいと意気込みを示した。
コートジボワール投資促進センター(CEPICI)のカロル・ベルステーグ副局長は、同国の投資環境について説明した。同国は、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の中でGDP規模2位の経済大国で、2030年までに上位中所得国になることを目指していると述べた。税制優遇や関税免除、外貨の自由取得などのインセンティブが整備されており、特にカカオやカシューナッツの加工業、養殖業の拡大、バイオ燃料製造分野への投資が注目されているという。CEPICIが窓口となって投資環境の改善や日本企業への支援を行っており、成長が期待できる市場だと呼びかけた。
式典では次の覚書(MOU)3件が締結された。
(1)コートジボワール商工会議所(CCI-CI)と大阪商工会議所による経済交流と企業支援の促進に関する協定。
(2)コートジボワール商業・産業省とヤンマーアグリの農業機械導入を通じた稲作支援に関する協定。
(3)Paradise Game コートジボワールとHLD Labによるデジタルエンタメ分野での人材育成に関する協定。
フォーラムでのMOU締結式(ジェトロ撮影)
ジェトロからはアビジャン事務所の長屋幸一郎所長が登壇し、ECOWASから離脱した一部加盟国も、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)には残っており、共通通貨を採用する域内の通貨体制は安定していると述べた。
長屋アビジャン事務所長によるスピーチ(ジェトロ撮影)
スマートシティーをテーマとしたパネルディスカッションでは、国際協力機構(JICA)やNEC、清水建設の関係者が登壇した。清水建設の常務執行役員・土木国際支店長の大迫一也氏は、進行中のアビジャン3交差点工事を説明したほか、リサイクルPET素材を用いたサステナブルなアスファルト技術を紹介した。参加者から、コートジボワールに進出するメリットについて質問が上がり、大迫氏から周辺国へのアクセスの良さから西アフリカのハブ機能として優れているとの回答があった。
パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
スレイマン・ディアラスバ商業・産業相は、同国に進出した日本企業数が3社だったものが現在は21社と、この10年あまりで7倍に増えたことに触れつつ、官民パートナーシップ事業ではまだ日本企業の関与が少ないと指摘した。コートジボワール商工会議所やコートジボワール投資促進センターといった支援機関を活用して、積極的に同国への投資を進めてほしいと呼びかけた。
(安藤佳耶)
(コートジボワール、日本)
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